タイトル | リーフディスク等への夏胞子接種によるトウモロコシ南方さび病菌の培養 |
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担当機関 | 山口農業試験場 |
研究期間 | 1995~1996 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1995 |
要約 | トウモロコシ南方さび病菌をカイネチン・ショ糖液で保水したリーフディスク上で培養する方法を確立した。本法により、菌株の継代培養、品種抵抗性の簡易検定、葉位・葉齢と感受性の関係及び本菌冬胞子の形成条件等に関する研究が実施できる。 |
背景・ねらい | トウモロコシ南方さび病は晩植えや二期作目栽培で多発する重要病害である。本菌は培地上で人工培養できない上に、寄主植物の草丈等が大きいため、例えば多数菌株を生育後期の植物に接種して抵抗性を検定することなどは困難である。そこで簡易な手法として、リーフディスク等の切離葉片への夏胞子接種による方法を検討した。 |
成果の内容・特徴 | ①リーフディスク等を用いた南方さび病菌の培養法は図1、図2に示した。 ②本法では多数の菌株の継代培養保存ができる。20菌株の場合、約15×35cmの場所で培養できる。培養中の南方さび病菌はレース検定等の際、直接接種源として供試できる。 ③圃場栽培植物のリーフディスクまたはイチゴパック植え苗の切離葉片に夏胞子を接種して品種抵抗性検定が実施できた。なお圃場栽培植物葉を供試した方が抵抗性の強弱が明確であった。 ④本法で南方さび病菌の夏胞子を接種後、15℃で培養すると約1か月後に冬胞子が形成された(図3)。この冬胞子の形態は野外のものと同一である。冬胞子の形成温度等、本菌の越冬に関する試験研究が実施できる。 ⑤圃場栽培植物では抵抗性品種・感受性品種とも上位葉ほど感受性が低かった。(表1)。しかし出葉後は感受性品種の上位葉において経過日数とともに感受性が高まった。本病の発病経過の解析に関する試験研究が実施できる。 以上、本法により南方さび病菌に対する品種抵抗性や本菌の生態解明等の試験研究が簡易に実施できる。 |
成果の活用面・留意点 | ①本法は南方さび病以外にトウモロコシさび病にも適用可能である。 ②今回使用したシャーレはアドバンテック東洋製のPD-47Bである。密閉性のよいシャーレ(tight lid type)を用いた方が葉片の乾燥が防げ良好な結果が得られる。 ③南方さび病菌を継代培養する場合は約25℃の場合、約15日ごとに行う。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | いちご 乾燥 抵抗性 抵抗性検定 抵抗性品種 とうもろこし 品種 |