タイトル |
利根川下流域の水田複合型営農集団における乾田直播栽培技術導入の規模拡大効果 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
利根川下流域の複合型水田作営農集団における不耕起乾田直播栽培技術の経営的評価を行い、経営面積がおおむね40haまでは水稲や麦類、大豆、いちご等を組み合わせた複合経営が合理的であること、また、直播技術の導入により移植水稲作付限界規模34haを更に7ha拡大できることを明らかにした。
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背景・ねらい |
利根川下流域において不耕起乾田直播栽培技術を導入し、水稲、小麦、大麦、大豆、いちごを基幹部門とする大型複合経営として経営展開を図っている生産組合の平成7年度の経営収支および労働時間に関するデータをもとに、経営面積の拡大可能性の程度に対応した合理的な作付計画と不耕起乾田直播栽培技術の経営的効果について、線形計画法により評価、分析を行いその規模拡大効果や経営への導入条件を明らかにすることで、直播栽培技術の普及、定着に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 不耕起乾田直播栽培技術の内容は次の通りである。導入面積は1.2ha。品種は、難穂発芽性の高いチヨニシキ。農業研究センターで開発した不耕起播種機を用い4月21日に播種。9月13日収穫。10a当たり労働時間9.87時間(移植11.15時間)。単収は移植のチヨニシキに比べ48kg減の469kgであった(いずれも平成7年度)。
- 経営面積規模拡大の可能性を現状水準から制約無しまで8段階に区分し、それぞれの規模での最適な作付計画を求めると、おおむね40haまでは移植水稲と麦類、大豆、いちご等を組み合わせた複合経営が合理的といえるが、それ以上に規模拡大が可能な場合には直播栽培の導入面積が増加し、水稲(移植+直播)と麦類といった土地利用型の作物を中心とした作付けが合理的となる。
- 経営面積を現状と同等とした場合には、直播栽培が移植と同じ単収を維持できるかどうかでその導入面積は大きく異なり、減収無しとすると直播導入面積は3.2haに達する。また、面積拡大が可能という前提をおくと、移植栽培のみでは水稲作付面積は34.4haで限界に達するが、直播栽培を導入することでよりいっそうの規模拡大が可能となる。特に3つの作期に分けて直播栽培を導入すると、水稲作付面積は7ha増加し、最大41.4haに達する。これは、直播栽培による省力化と作期幅拡大の効果によるものである。
- ただし、直播栽培を導入したとしても面積拡大には一定の制約があり、また、水稲作付けにおいてすべて直播栽培が導入されるのではない。これは、収穫時期における移植栽培の収穫作業や複合部門の作業との競合から、減収を仮定した直播栽培の導入が制約されるためである。したがって、直播栽培を規模拡大促進技術として今後広く普及させていくためには、単収水準の安定・向上とともに、秋の収穫労働の省力化と作業期間の延長等についても今後技術的な工夫を行っていく必要がある。
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成果の活用面・留意点 |
直播栽培を推進していく際の経営者への参考情報として活用できる。なお、本情報で分析した内容は、関東の利根川下流域の平場平坦地域において、乾田直播栽培技術を導入した場合の効果であり、土壌条件や水利条件が異なる地域に直接適用することはできない。また、直播栽培技術の規模拡大効果は、複合部門の状況や移植栽培の作業能率に関連する圃場区画や分散の程度、水稲品種構成等による作業適期幅等の条件にも大きく影響を受けることに留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
いちご
大麦
乾田直播
規模拡大
経営管理
小麦
栽培技術
直播栽培
省力化
水田
大豆
播種
品種
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