簡易携帯式装置利用による密閉容器内ガス組成の自動循環測定法

タイトル 簡易携帯式装置利用による密閉容器内ガス組成の自動循環測定法
担当機関 農業研究センター
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1995
要約 一定時間毎に密閉容器内の雰囲気を自動的に採取し、酸素と二酸化炭素濃度を測定した後、元の容器に戻す循環測定システムを組み上げた。本装置により青果物の呼吸量測定、呼吸抑制状態に至るまでの経過や、日較差等の温度シミュレーションによるフィルム包装容器内のガス組成の変化等が省力的で簡単に判り、包装設計の検証が可能である。
背景・ねらい 高品質流通システムの確立にあたり青果物の流通時、貯蔵時における呼吸量の動的把握が重要であるが、測定には数日にわたる経時的な雰囲気の連続採取・分析が必要である。簡易・迅速な分析・測定装置利用においてはガスクロと異なり、一測定に5~10mlの雰囲気採取が必要である。この場合、連続測定することにより容器内の雰囲気容量の減少が懸念される。また、深夜の採取等は実施が困難な現状である。
そこで、密閉容器内の雰囲気を任意の時間に自動的に採取しガス濃度を測定、分析、記録後、元の容器に戻す装置・システムを開発する。本装置により、フィルム密閉包装における袋内酸素及び二酸化炭素濃度を連続的に自動測定し呼吸量の動的変化を把握するとともに、包装内ガスによる呼吸抑制(MA)効果の発現に至るまでの経過等の解明に役立て、高品質流通システムの確立に資する。
成果の内容・特徴
  1. 装置の概略を図1に示す。使用した携帯式ガス分析計は、ジルコニア酸素センサ、TCD方式二酸化炭素検出器、ポンプ及び記録計を持つ。なお、RS-232C仕様の場合はパソコンに接続が可能である。
  2. 雰囲気循環式自動測定システムとするため、サンプリングの時刻の設定、サンプリングの回数及び間隔の設定ができ、かつ外部にサンプリング作動信号の送信が可能な自動タイマーを接続した。
  3. 測定部での酸素と二酸化炭素の消費はなく、循環測定による測定誤差はなかった。
  4. 野菜をフィルム密閉包装した後の酸素と二酸化炭素の濃度変化の自動測定・記録が可能であり、呼吸抑制状態への経過が詳細・簡単に把握できた(図2-1、2)。
成果の活用面・留意点
  1. 1回目のサンプリングは配管内に前回の測定ガスの影響が残っている可能性があるため、それが完全に置換される2回目以降のものを分析値として採用する。そのため、同一時刻のサンプリング測定は複数回行う必要がある。
  2. 多量のエチレンやエタノールがジルコニアセンサによる酸素計測を妨害する可能性が考えられたので、これらのガスの大量発生が予想される場合には、測定ガス試料をセップパックC18等の吸着剤に通す必要があると考えられる(なお、測定ガス試料中の水分は、兼備された除湿装置で除去できる)。
  3. フィルム容器内を低酸素、高二酸化炭素状態にして、そのガス組成変化を追跡すれば、フィルムのガス透過度の測定も可能である。
図表1 223998-1.gif
図表2 223998-2.gif
図表3 223998-3.gif
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