タイトル |
酒造好適米新品種候補系統「東北154号」 |
担当機関 |
宮城県古川農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
水稲「東北154号」は,東北中南部では中生の晩の酒造好適米である。障害型耐冷性が強く,収量性が高く,大粒で醸造特性は「美山錦」と同等に良好であり,宮城県で「美山錦」の一部に代えて奨励品種に採用される予定である。
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背景・ねらい |
東北中南部で栽培されている酒造好適米「美山錦」は耐倒伏性が弱く,耐冷性も不十分で生産が不安定であり,良質で安定した多収の酒造好適米が要望されている。当場では耐冷性,耐倒伏性,耐病性が強く,大粒で低タンパク質の酒造好適米を育成しようとした。
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成果の内容・特徴 |
- 「東北154号」は宮城県古川農業試験場において「東北140号」を母とし,「山田錦」と「東北140号」のF1を父として交配し,その後代から育成した系統である。
- 「東北154号」の出穂・成熟期は「美山錦」よりやや遅く,育成地では“中生の晩"の粳種である。稈長は「美山錦」より短く“中",草型は“穂数型"で,耐倒伏性は「美山錦」よりやや強く“中"で,収量性は「美山錦」より多収である。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“+"と推定され,圃場抵抗性は葉いもちは“中",穂いもちは“強",障害型耐冷性は「美山錦」より強く“強",穂発芽性は“難"である。
- 玄米の外観品質は腹白,乳白が少なく,タンパク質含有率は「美山錦」より低く“やや低"である。
- 原料米の整粒千粒重は「美山錦」並,心白発現率は「美山錦」より低く,65%精米の吸水は「美山錦」より早く,吸水量は多く「山田錦」並で,蒸米吸水率は「美山錦」並で,直接還元糖は「美山錦」よりやや少なめであり,直接ホルモール窒素は「美山錦」より低く,酒造適性は「美山錦」並である。
- 製成酒は,「美山錦」より酸度,アミノ酸度が低い。アルコール濃度は「美山錦」並かやや低く,粕歩合は「美山錦」よりやや高く,アルコール収得量は「美山錦」よりやや少なめである。官能評価は「美山錦」と同等かやや良好である。
- 宮城県では「美山錦」対象に奨励品種に採用予定であり,“酒米の里"づくりによる地域活性化を図る地域で「ひとめぼれ」,「ササニシキ」の一部も代替し,酒造好適米の生産を拡大する。普及見込み面積は200haである。
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成果の活用面・留意点 |
- 追肥時期は幼穂形成期を基準とし,玄米のタンパク質含有率が高まるので,減数分裂 期以降の追肥はしない。
- 葉いもち抵抗性は“中"であり,適期防除に努める。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
酒造好適米
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
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