コムギの赤かび病抵抗性の遺伝分析

タイトル コムギの赤かび病抵抗性の遺伝分析
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 コムギの半数体倍加系統(DH)と組換型近交系統(RI)を用た、赤かび病の遺伝分析の結果、高度抵抗性の蘇麦3号は相加的効果のある2個の抵抗性主働遺伝子をもち、その1個は無芒の形質と15~21%で連鎖することが明らかになった。抵抗性母本の西海165号は、3個の赤かび病抵抗性遺伝子をもち、少なくとも1個の遺伝子は日本の遺伝資源から取り込まれた非相加的か作用が小さい遺伝子である。
背景・ねらい コムギの赤かび病抵抗性は、環境や年次により発現程度が変動し易すく、抵抗性の遺伝子の存在や発現制御のシステムが明らかでないため、選抜にはかなりの時間と労力を要する。またASWなどの高品質遺伝資源は赤かび病に極めて弱く、高品質コムギ育成の現場では、赤かび病抵抗性の遺伝解析と選抜効率化の技術開発が必要となっている。本研究では、固定系統である半数体倍加系統(DH)と組換型近交系統(RI)を用いて、高度抵抗性である蘇麦3号由来の赤かび病抵抗性を遺伝分析した。
成果の内容・特徴
  1. 赤かび病抵抗性の蘇麦3号とASW構成品種で罹病性のGamenya及びEmblemから育成した半数体倍加系統における赤かび病抵抗性は、育種現場での選抜尺度である抵抗性(R),中間型(M),罹病性(S)の3分級にに1:2:1分離することから(c2=2.43及び1.137、 0.1 &st; P < 0.9)、蘇麦3号は相加的効果のある2個の抵抗性主働遺伝子をもつ(図1)。
  2. 半数体倍加系統での赤かび病抵抗性の分離は、芒の有無と関連しており、有芒系統のほうが抵抗性である傾向がある。蘇麦3号の赤かび病抵抗性は、芒の有無と15.1%ないしは21.4%で連鎖しており(表1)、1個の抵抗性遺伝子は5A染色体長腕か6B染色体長腕の何れかに座乗する。
  3. Emblemと西海165号の組合せで育成した組換型近交系統では、赤かび病の分離が3遺伝子モデルの7(R+M):1(S)に良く適合するため(1995-96年平均値でc2=0.002 , P>0.95)、西海165号は3個の赤かび病抵抗性遺伝子をもち、少なくとも1個は日本の遺伝資源から取り込まれた非相加的か作用が小さい遺伝子である。
成果の活用面・留意点
  1. 赤かび病抵抗性育種の基礎情報として活用する。
  2. 寒冷地における蘇麦3号及び西海165号の抵抗性遺伝子の効果が未確認である。
  3. 赤かび病抵抗性遺伝子の間接選抜法の開発が望まれる。
図表1 224047-1.gif
図表2 224047-2.gif
カテゴリ 育種 遺伝資源 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種

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