タイトル |
レタス腐敗病細菌(Pseudomonas cichorii)が生産する植物毒素・チコリンの作用機構 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
腐敗病細菌(Pseudomonas cichorii)に感染したレタス組織では、病原細菌が生産する植物毒素・チコリンによって、自家蛍光物質の蓄積、組織硬化などの生理的反応が誘導される過敏感反応等の防御反応を乗り越えて、病徴が発現する。
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背景・ねらい |
Pseudomonas cichoriiによるレタス腐敗病は、長野県、岩手県などの寒高冷地での夏秋作で多発し、安定生産上の大きな阻害要因となっている。本病原細菌はレタスに病徴と類似した症状を発現させる植物毒素・チコリンを生産することから、病原細菌の接種並びにチコリンの施与がレタス組織に及ぼす作用を解明する。
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成果の内容・特徴 |
- 接種により、P.cichoriiでは6時間後から、チコリンでは3時間後からそれぞれ原形質膜を中心とした微細構造変化が観察され、24時間後には細胞死が観察される。
- P.cichoriiを接種した場合と同様に、チコリン接種によってレチュセニン Aと考えられるファイトアレキシンの生産がレタス組織で誘導される。ファイトアレキシンの生産は他のレタス類とダイコン、カブ、ヤマノイモでも誘導される(表1)。
- P.cichorii及びチコリンの接種によってレタス組織内で細胞壁を中心として自家蛍光物質が24時間以内に集積する。この自家蛍光物質の蓄積は他の作物でも誘導される(表2)。
- レタス組織は、接種によってP.cichoriiでは12時間目から、チコリンでは6時間目から硬化しはじめ、約24時間目まで直線的に硬化する(図1)。
- チコリン及びP.cichoriiの接種によって電解質の漏出、接種6時間目のPAL(phenylalanine ammonia lyase)活性の誘導が認められる。
- シクロヘキシミド、ブラストサイジン-S等のタンパク質合成阻害剤のレタス組織への前処理は、チコリン及びP.cichoriiによる病徴発現を抑制する(表3)。また、レタス組織での自家蛍光物質の蓄積、組織硬化は、シクロヘキシミドの前処理によって抑制される(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本病の防除手法を開発する際の基礎資料として活用できる。
- チコリンは他の作物にも過敏感反応と考えられる反応を誘導するので、他の作物の感染生理機構を解明する際の基礎資料として活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
かぶ
だいこん
防除
やまのいも
レタス
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