チューリップ微斑モザイク症状の感染因子の性状と血清学的診断法

タイトル チューリップ微斑モザイク症状の感染因子の性状と血清学的診断法
担当機関 富山県農業技術センター
研究期間 1996~1998
研究担当者
発行年度 1996
要約 チューリップ微斑モザイク症状から特異的に分離される感染因子をC. quinoa上で増殖し,47Kのタンパク質を有する幅4~8nmの複雑に屈曲したひも状のウイルス様粒子を純化した。本粒子に対する抗血清を作製して,血清学的診断法を確立した。
背景・ねらい 富山県内で発生し問題となっているウイルス病様症状の病原は長らく不明である。そこで,ウイルス様症状の1つである微斑モザイク症状について,ウイルス様粒子を純化し,抗血清を作製して血清学的な診断方法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 微斑モザイク症状の感染株から特異的に分離される感染因子の耐保存性は1~2時間(20℃),耐熱性は40~45℃(10分間),耐希釈性は100~500倍であり,不安定な種類のウイルスと考えられる。
  2. 粗汁液に活性炭素や2-メルカプトエタノールを添加することによって耐保存性が向上し,C. quinoa上での増殖・継代が容易となる。
  3. チューリップ病葉およびC. quinoa,ホウレンソウ,ツルナの接種葉から,健全葉には見られない幅が4~8nmの複雑に屈曲したひも状のウイルス様粒子が検出される(図1)。
  4. C. quinoa 感染葉から純化したウイルス様粒子のタンパク質分子量は47Kであり,本粒子に対する抗血清を用いたWestern blot解析によって,発病株から特異的に47Kタンパク質が検出される。
  5. 部分純化試料の感染性は,抗ウイルス様粒子IgG,RNase A, Proteinase KやSDSの処理によって失活し,抗健全成分IgGやDNase Iでは失活しない(表1)。
  6. ショ糖密度勾配遠心分離後に分取した分画の感染性は,複数の分画を混合することによって高まる。
  7. das-ELISA法やTBIA法(図2)による診断法を確立したが,抗原は,茎,葉,花弁に偏在する(図3)ことから,TBIA法を用いて茎横断面から検出する方法が,精度の高い診断法であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 血清学的な診断法が確立され,迅速な検出診断が可能となった。ただし,das-ELISA法で診断する場合は,磨砕用緩衝液に活性炭素を添加する必要がある。
  2. 本ウイルス様粒子のチューリップへの戻し接種,病原ウイルスの再分離およびベクターの確認が必要である。
図表1 224062-1.gif
図表2 224062-2.gif
図表3 224062-3.gif
図表4 224062-4.gif
カテゴリ チューリップ つるな ほうれんそう モザイク症

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