タイトル |
カラシナから生じる揮発性抗菌物質によるホウレンソウ萎凋病の発病抑制 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1991~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
カラシナから生じるアリルイソチオシアネートにより、ホウレンソウ萎凋病菌の生育が顕著に抑制され、殺菌作用が認められる。カラシナ葉を土壌中に混入するとホウレンソウ萎凋病菌の密度が減少し、ホウレンソウの発病も抑制される。
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背景・ねらい |
アブラナ科植物の青刈り・鋤込みにより、後作での土壌病害の発生が軽減される現象が知られている。そこで、 カラシナを鋤込んで、ホウレンソウ萎凋病に対する発病抑制を試みた。
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成果の内容・特徴 |
- カラシナ磨砕物から生じる気体により、ホウレンソウ萎凋病菌は生育が著しく抑制され(図1)、または死滅する。抗菌活性には種子の由来により差が認められる。黄カラシナの磨砕物から生じる気体中から、ガスクロマトグラフィーとGC/MSにより、アリルイソチオシアネート(AITC)が検出される(図2)。
- ホウレンソウ萎凋病菌(nit変異菌株)の汚染土壌1kgに、カラシナ生葉の細断物100gを混ぜ、ポリエチレン袋に入れて密閉または開放状態とし、2つの温度条件下(25℃一定または25℃20時間+35℃4時間)で1ヶ月間培養すると、カラシナ混入によって病原菌密度が低下し、変温条件の密閉区では検出限界(約10cfu/g乾土)以下に低下する(図3)。
- 上記処理土壌にホウレンソウを播種した結果、密閉のみの無処理区では発病が増加したが、カラシナ区では発病が抑制され、25℃+35℃培養のカラシナ区とカラシナ密閉区は播種47日後までほとんど発病しない(図4)。なお、カラシナを混入しても発芽率の低下や生育障害は認められない。
- 以上の結果から、カラシナの土壌混入によってホウレンソウ萎凋病菌密度の低下と発病の抑制がみられるが、これは、カラシナから生じたAITCの抗菌作用によるものと考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- カラシナの鋤込み量による発病抑制効果の大小については未検討であるが、カラシナを前作・鋤込みして、土壌表面を被覆することにより、ホウレンソウ萎凋病の発生を抑制できる可能性がある。
- カラシナ磨砕物から生じるAITCは、バーティシリウム菌など、フザリウム菌以外の糸状菌にも生育抑制効果がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
あぶらな
からしな
播種
ほうれんそう
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