被覆下の風速と資材の放射特性で変わる気温と地温・葉温のバランス

タイトル 被覆下の風速と資材の放射特性で変わる気温と地温・葉温のバランス
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1995~1997
研究担当者
発行年度 1996
要約 被覆下では、風速や資材の放射特性によって、気温と地温・葉温の関係が変化する。被覆下の作物生育は、特に生育初期において、気温より地温・葉温と相関が高い。
背景・ねらい パイプハウスや雨よけ、べたがけなど被覆下の温度環境は、被覆下の風速(換気率や資材の通気性)や被覆資材の放射特性(日射透過率、長波放射透過率)によって大きく変化する。これまで、これら被覆下の温度環境が作物生育に及ぼす影響の解析には、温度の代表値として主に気温が用いられていた。しかし、気温だけでは被覆の効果を説明できないことも多く、問題とされていた。そこで、被覆下の温度要因のうち、気温と地温・葉温について、被覆下の風速と被覆資材の長波放射透過率がそれぞれの温度要因に及ぼす影響を比較するとともに、被覆下のこれら温度要因と作物成長との関係を評価した。
成果の内容・特徴
  1. 被覆下の気温が一定であっても、被覆下の風速と資材の放射特性の違いにより、地温は変化した。
    特に、風速が小さくなると、資材特性の影響が大きくなった。(表1)
  2. 風速の小さいハウス内(風速0.2m/s)では、被覆資材の長波放射透過率が低いほど、気温に対して地温が高くなった。(図1)
  3. 気温と地温の関係と同様に、気温とホウレンソウ幼植物の葉温との関係も、それぞれの被覆資材で異なった関係線を描いた。
    一方、地温と葉温との関係は、資材の違いに関わらず同一の線を描いた。
    すなわち、資材の長波放射透過率の影響は、気温に対してと、地温に対してとで異なるが、地温と葉温とでは同じだった。
  4. 長波放射透過率の異なるフィルム下で栽培した水稲幼植物の出葉速度は、気温よりも地温との間に高い相関があった。(図2)
    トマトでも同様の結果が得られた。
  5. 以上より、被覆下の温度要因は、気温では代表しきれないこと、また、被覆が作物生育に及ぼす影響は、特に作物の生育初期において、気温よりも地温・葉温と相関が高いことが明らかになった。
活用面:被覆資材や被覆法の選定、温度管理を行う上で、あるいは被覆下の作物生育を解析する際の指針となる。
成果の活用面・留意点 活用面:被覆資材や被覆法の選定、温度管理を行う上で、あるいは被覆下の作物生育を解析する際の指針となる。
留意点:
(1)本成果は、植被率や草丈が低い生育初期、かつ、温度が生育の制限要因になっているときに有効である。
(2)表1で風速が大きくなると地温が下がっているのは、元々の気温が地温より低いためであり、加温したハウスや放射冷却が強い夜間など、元々気温の方が高い条件では、風速が大きくなるにつれ地温が上昇する場合もある。
(3)この実験結果は、生長と気温、地温との相関を示しているだけであり、必ずしも地温が作物生育を制御しているとは結論できない。
図表1 224104-1.gif
図表2 224104-2.gif
図表3 224104-3.gif
カテゴリ 温度管理 トマト ほうれんそう

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