北陸中山間地域における市町村農業公社の機能と運営のポイント

タイトル 北陸中山間地域における市町村農業公社の機能と運営のポイント
担当機関 北陸農業試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 北陸中山間地域における市町村農業公社の類型化を行い、そのうち経営体的自立型及びリスク軽減型の2つのタイプについて、代表的な公社の立地条件と機能及び運営のポイントと課題を解明した。
背景・ねらい 北陸地域の中山間地域において、高齢化と耕作放棄が進行する中で、農地保全さらには地域農業の担い手として市町村農業公社に期待が高まっている。しかし農業公社といっても運営方法を模索しているところも多い。そのため、稼働中の代表的な公社について、その立地条件と機能及び運営のポイント等の解明が求められている。
成果の内容・特徴
  1. 北陸の中山間で市町村レベルに農業公社を設置したのは、新潟県8、石川県1、福井県2の11市町村(平成7年8月末現在)である。北陸地域の農業公社の特徴は、財団法人の形態をとり、農産加工や物産販売等の地域活性化や林業との結合等の事例が少なく、水田農業に直接関連した農業内的な取組が中心となっている点である。
  2. これらの公社の事業の具体的なあり方は、地域の立地条件、他の農業関係機関の活動、さらに市町村の農業構想における位置づけの相違等から、多様である。そこで中山間地域の抱える課題のうち、農作業・農地の「受け皿」をどう確保するか(農地受託重視か農作業受託重視か)及び地域の水田農業再編への対応(地域への園芸作導入重視か否か)を視点に公社を類型化すると、経営体としての成長・自立を特徴とする「経営体的自立型」、公益性を重視し地域の水田再編・集約作物導入に際した技術・販売のリスク軽減を特徴とする「リスク軽減型」及び両者の「中間型」が指摘できる(図1)。
  3. これらのうち経営体的自立型及びリスク軽減型の代表的な公社について、その立地条件の特徴と機能及び運営のポイントと今後の課題は、以下のとおりである(表1)。
    • 経営体的自立型のK村公社(図1のC)の立地条件は、平坦地割合が高くかつ都市への通勤兼業地域という点が特徴である。同公社は、自らの農地受託(借地経営)を通じた農地保全、意欲的就業者の確保のほか、オペレータの独立による新たな担い手育成の機能を果たそうとしている。運営面では、農地の受け皿及び経営成果の内部留保のため関連会社設立及びブロック別担当制等がポイントであり、これらにより独立採算を可能としている。今後、担い手の独立と経営体としてのメリットの調整等が課題である。
    • リスク軽減型のO村公社(図1のF)の立地条件の特徴は、傾斜地域でかつ近郊での農外就業機会が少ない点である。作業受託による農地保全と農家数維持、作業受託特化による担い手農家育成支援、地域戦略作物の定着・複合化誘導の各機能を果たしているほか、今後農地保有合理化法人資格の取得により農地利用調整を通じた担い手農家育成機能を果たそうとしている。運営面では、機械銀行での調整に基づく作業受託及び集約作物の実験農場の設置等がポイントである。今後、花き栽培を都市との交流の中に位置づける等の都市交流との結合が課題である。
成果の活用面・留意点 新たな公社の設立及び既存の公社の運営改善に参考となる。なお、取り上げた公社は農業内的な取組みを中心とする公社である点に留意されたい。
図表1 224143-1.gif
図表2 224143-2.gif
カテゴリ 加工 経営管理 傾斜地 水田 中山間地域

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