野菜作経営における堆肥価格の負担限界額

タイトル 野菜作経営における堆肥価格の負担限界額
担当機関 農業研究センター
研究期間 1996~1999
研究担当者
発行年度 1996
要約 千葉県下の野菜作経営を素材とした線形計画モデル分析の結果,施設イチゴ+露地野菜作経営の牛糞堆肥に対するトン当たりの価格負担限界額の目安は,施設イチゴ9千円,露地野菜(ごぼう,落花生,里芋,根しょうが)2.7~1.3千円。施設スイカ・トマト+露地野菜作経営では,施設スイカートマト8千円,露地野菜(スイカー人参)6千円である。
背景・ねらい 畜産経営の存続・発展にとって家畜糞尿の合理的な処理・利用が大きな課題であり,経営内部で利用し切れない家畜糞尿については外部利用を円滑に促進する必要がある。外部利用を円滑にするには,利用者側の家畜糞尿に対する経済的負担限界額を把握しておくことが必要である。
そこで,家畜糞尿の有力な需要者の1つである野菜作経営について,乳牛糞を原材料とする堆肥に対する価格負担限界額を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 千葉県八街市の施設イチゴ+露地野菜作経営(4戸),四街道市の施設スイカ・トマト+露地野菜作経営(2戸)を素材に,施設イチゴ+露地野菜(ごぼう,根しょうが,里芋,ねぎ,落花生,加工大根,甘藷。なお,加工大根,甘藷は堆肥無施用)と施設スイカ・トマト+露地野菜(中・小型トンネルスイカ,人参)の2つの線形計画モデルを作成し,経営収益最大化の下で堆肥施用と無施用との比較,及び利益係数の感度分析による限界収益の計測を通して堆肥に対する価格負担限界を計測した。
    モデルの主な前提条件は表1の通りで,調査農家及び農業改良普及員の聴取に基づいて,堆肥施用の場合は増収,品質が向上し,堆肥無施用に比較して収量5%増加に相当する粗収入が向上するものとした。
  2. 施設イチゴ+露地野菜の場合,施設イチゴの負担力が最も大きく,最高トン当たり約2万円まで負担可能である(表2)。しかし,2万円の負担はモデルで設定した(粗収入-比例費用)(以下,収益)額が極僅か低下すると負担不可能になる。そこで,価格下落による収益低下を考慮し,収益額がモデル設定に比較して3%減少した場合でも負担できる水準を一定の経済的安全性を考慮した負担限界額としてみると,約9千円となる。
    露地野菜の負担力は,最高(収益額がモデル設定水準)で,5千円(ごぼう)~1.4千円(ねぎ),安全性を見込んだ場合(収益額がモデル設定水準の3%減)2.7千円(ごぼう)~1.3千円(根しょうが)までの価格を負担することができる(但し,ねぎの堆肥利用の経済性はなくなる)。
  3. 施設スイカ・トマト+露地野菜の負担限界額は,施設スイカートマトが,最高で1.2万円,安全性を見込んだ場合8千円である(表3)。露地スイカー人参は,小型トンネルスイカー人参が最高8.7千円,安全性を見込んだ場合6千円,中型トンネルスイカー人参は最高8千円まで負担可能であるが,収益額が3%低下すると堆肥利用は経済的でなくなる。
成果の活用面・留意点 家畜糞尿を外部に供給しようと考えている畜産農家に対して,堆肥製造にどの程度まで費用をかけることができるかの目安を提供する。なお,堆肥価格が高くなる程,良質の堆肥の製造が要求される。
野菜作経営における価格負担限界額はモデル設定条件の下でのものであり,収益水準,堆肥投入量,作付構成や堆肥施用の効果が変化すれば負担限界額は異なる。
図表1 224151-1.gif
図表2 224151-2.gif
図表3 224151-3.gif
カテゴリ いちご 加工 経営管理 ごぼう しょうが すいか トマト 乳牛 ねぎ

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