タイトル |
中山間市町村の所得・人口指標による類型化 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
中山間市町村を所得・人口指標によって類型化し、その特徴を明らかにした。所得・人口条件とも良好な類型は大都市圏域に多く、兼業農家率が高い等、農業以外の産業立地の影響を多く受けている。一方、所得が低い類型は九州・東北・四国に多く、当該地域での人口増減と農業所得には密接な関係がみられる。
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背景・ねらい |
中山間地域を活性化する上で、ある程度の所得(農業所得以外も含む)と人口の確保は必要不可欠な条件である。そこで、所得と人口指標によって中山間市町村の類型化を行い、既存のデータベースを用いて各類型の特徴を明らかにした。使用した既存のデータベースは、「日本アルマナック」、「農業センサス」、「農業所得統計」である(いずれも1990年版)。
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成果の内容・特徴 |
- 所得・人口指標による中山間市町村の類型化
中山間市町村(特定農山村法指定を中心とした1,666市町村)を、「1人当たりの所得」と「人口増減率(1980~90年)」によって類型化した。2指標の度数分布から、市町村数が概ね1:2:1となるように、「1人当たりの所得」はA:85万円以上、B:60~85万円、C:60万円未満、「人口増減率」は1:0%以上、2:-10~0%、3:-10%未満と3区分し、これらを組合せてA1~C3までの9類型を策定した。
- 類型の地域分布
各類型の地域分布は次のとおりである(表1)。 ア.A1、A2(所得・人口とも良)は関東、近畿、東海といった大都市圏に多い。 イ.類型(所得低)は九州、東北、四国に多く、C1(所得低だが人口減少なし)の7割が九州である。 ウ.A3(所得高だが人口減少)は、北海道が5割近くを占める。 エ.中山間地域の平均的類型であるB2は、中国に最も多い。
- 中山間市町村の特徴-平坦地市区町村との比較による-
中山間市町村と平坦地市区町村(非中山間市区町村)及び東京区市部の社会・生活指標の平均値(表2)の比較から、以下の点が明らかになった。 ア.いずれの指標の平均値も平坦地より中山間市町村の方が低い。「所得」で約20万円の差があり、「人口の増減率」の差は中山間地域から平場への人口流出を如実に示す。 イ.東京区市部は、「所得」で中山間市町村とは約100万円、平坦地市区町村とも約80万円の差があり、財政力指数も1以上と、その一極集中ぶりを示している。
- 各類型の特徴
1)社会・生活指標:類型毎の平均値の比較から、次の点が明らかになった(表2)。 ア.各指標の平均値とも、A>B>C類型、1>2>3類型で、社会・生活指標と「所得の高低」、「人口の増減」は密接に関連している。 イ.AⅠ類型は「所得」、「人口」で平坦地平均を上回り、A2も「所得」は全国平均を上回る。中山間でも全国平均以上の市町村が相当数(A1、A2合計で401)ある。 2)農業指標:類型毎の平均値の比較から、次の点が明らかになった。 ア.各指標の平均値は、1>2>3類型といった傾向を示し、農業の活性化度と「人口の増減」は密接な関係にある。 イ.農業所得はA&st;Bウ.III類型(人口が激減)の市町村の水田率は低く、畑地帯の中山間市町村の人口減少が激しいことを表す。 各類型の特徴を整理すると表3のとおりである。
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成果の活用面・留意点 |
国・都道府県・市町村行政が中山間地域の活性化施策を講ずる場合の基礎資料となる。ただし、本成果は「活性化」の基礎条件としての人口・所得に絞っているため、実際に市町村の状況を診断する場合、それ以外の要因も考慮する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
水田
中山間地域
データベース
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