タイトル | 集落消滅の実態と限界水準 |
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担当機関 | 農業研究センター |
研究期間 | 1996~1996 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1996 |
要約 | 「中山間地域活性化アンケート」の結果から集落消滅は中山間市町村の2割以上にみられ、とくに北陸、四国に多い。集落の限界戸数・人口は5戸前後10~15人で、消滅理由としては「人口減少による集落自治機能の低下」のウェートが高い。対策としては集落移転や自治会の統合等の再編があげられる。 |
背景・ねらい | 中山間地域の活性化方策を講じたり、その空間利用計画を策定するにあたっては、集落自治組織を維持していくための限界戸数・人口の水準を明らかにすることが重要である。そこで、「中山間活性化アンケート」のデータ(回答市町村1,243)を用いて、集落消滅の実態から集落を維持するための限界水準を解明した。 |
成果の内容・特徴 | 集落消滅の実態と集落を維持していくための限界水準に関して、以下の点が明らかになった。 (1)全国的分布 アンケート回答市町村(1,243)の2割以上(289)に消滅集落があり、北陸、四国が過去・今後とも多いのと、今後は中国、四国、九州でより多くの集落消滅が見込まれる(図1)。 (2)限界戸数・人口 アンケートでは、「消滅せざるを得ない集落」の戸数・人口を聞いたが、その全国平均は5.6戸14.8人である(表1)。北陸、四国は限界水準が低いが(4戸10人で1家族2人程度)、東海、近畿は高い(6戸18人で1家族3人程度)といった地域差もみられるが、集落の限界水準は5戸前後、10~15人と考えられる。 (3)消滅理由 消滅理由として最も多かったのは「人口減少による集落自治機能の低下」で、「買物困難」、「通勤困難」とつづく。ただし、北海道では「基幹作物の収益性の低下」、「耕作環境の悪化」のウェートが高く、沖縄では「基幹作物の収益性の低下」、「教育上の不安」のウェートが高いなど、その地域性が現れている(図2)。 (4)市町村の対策 アンケートで集落消滅対策を聞いたが、市町村が挙げた集落消滅対策は、ア.集落移転(ハード的な集落再編イ.自治会の統合(ソフト的な集落再編)、ウ.集落排水などの生活基盤整備の3つに整理できる。 |
成果の活用面・留意点 | 国・都道府県・市町村行政が中山間地域の空間利用計画を策定したり、集落再編施策を講ずる場合の基準となる。ただし、本成果はあくまでも「平均像」であるため、個々の集落に適用する場合、その地域性、歴史性など集落の個性に留意する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 中山間地域 |