有限要素法を用いた現地埋設型ライシメータの集水特性の解明と設計

タイトル 有限要素法を用いた現地埋設型ライシメータの集水特性の解明と設計
担当機関 農業研究センター
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 肥料成分の溶脱量を測定するための現地埋設型ライシメータを試作した。人工降雨装置とガラーキン有限要素法を用いた解析により、降雨強度が高いほど、或いはライシメータの円筒部が長いほど集水効率が高まることを明らかにし、ライシメータの基本設計を可能にした。
背景・ねらい 集約畑からの肥料成分の溶脱量を実圃場で簡便かつ高精度にモニタリングできる手法の開発が求められている。そこで、ガラス繊維製のキャピラリーを装着した円筒形の現地埋設型ライシメータを試作して黒ボク土に埋設し、その集水特性を明らかにすることにより、現場に適用するライシメータの設計を可能にすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 人工降雨下における現地埋設型ライシメータの集水効率は、円筒部の長さが短いと極めて低くなった。(図1)
  2. 測定から求めたとを用いて、ガラーキン有限要素法によりリチャーズのマトリックポテンシャル方程式()を解いて集水効率の数値シミュレーションをおこなった。その結果、降雨強度が高いほど、或いは円筒部が長いほどライシメータの集水効率は高まることが明らかとなった。また、排水口の排水能力による律速を考慮して、Ksat・A と SRの比を計算したところ,A / S > Rr / 36,000 / Ksat に設計する必要性が認められた。(図1)
  3. ライシメータ内部のポテンシャル平衡から考察すると、ライシメータでの集水を可能にするためには、ライシメータ上端のマトリックポテンシャルと円筒部の長さによる重力ポテンシャルの和をキャピラリーの有効長さによって作られるマトリックポテンシャルよりも大きく設定する必要がある。(図2)
  4. 数値シミュレーションにより、円筒部の長さが適当でない場合には、ライシメータ上端の全ポテンシャルの勾配がライシメータの外側の勾配よりも緩やかになるために集水効率が低下することを視覚的に示すことができた。(図2)
  5. 上述と同じ土壌条件の場合、深さ70cm以下への溶脱量をモニタリングするには、円筒部の長さを40~50cmに設計する必要がある。(図3)
    用いた記号:A:排水口面積(cm2)、 k:不飽和透水係数(cms-1)、Ksat:飽和透水係数(cms-1)、 R:降雨強度(mmh-1)、Rr:最大降雨強度(mmh-1)、S:集水面積(cm2)、z:重力ポテンシャル(cmH2O)、q:体積含水率(m3m-3)、y:マトリックポテンシャル(cmH2O)
成果の活用面・留意点 キャピラリーの装着はライシメータ底部における水の停滞をなくして脱窒などの影響を低減すると同時に、サイフォンによって集水に必要とされる円筒部の長さを短くできる。
図表1 224208-1.gif
図表2 224208-2.gif
図表3 224208-3.gif
カテゴリ 肥料 モニタリング

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