タイトル |
冬期に水田を整地・鎮圧し、4月に水稲を不耕起乾田直播する技術 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
田面の凹凸による播種精度の低下をなくすために、降雨量が少なく、農閑期 である冬期間に耕起・整地・鎮圧を行い、4月中旬以降に不耕起乾田直播を行う。降雨後の地耐力の低下による作業遅延が生じず、苗立が安定する。水稲出芽前に茎葉処理剤で雑草防除を行うことで播種前後の除草剤の使用を2回から1回に削減できる。
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背景・ねらい |
耕起乾田直播には、播種時期の降雨による地耐力の低下によって播種作業が大幅に遅れる大きな欠点があった。この問題の解決には不耕起乾田直播が有効であるが、前作のコンバイン収穫時の田面の凹凸により播種精度が低下する、稲わら被覆によって地温が低下して苗立が不安定になる、除草剤使用の回数が多いなどの問題点がある。そこで、不耕起乾田直播における苗立の安定化と除草剤使用回数を削減するための改良を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 降雨量が少なく天候の安定した冬期に耕起を行い、レーザレベラーで整地した圃場の土壌硬度は、4月中旬の播種時期に数cmの膨軟な表層を除いて大きく、トラクタ走行に充分な地耐力があった(図1)。
- 冬期に整地・鎮圧した圃場においてディスク駆動式汎用型不耕起播種機で播種した水稲の播種深度、苗立数は安定した(表1)。
- リン酸及びカリウムは予め播種前に散布し、播種時は緩効性窒素肥料(この試験では、被覆尿素40日型30%、シグモイドタイプの100日型70%を配合)を播種溝に施肥する窒素基肥の全量1回施用により施肥の省力化を図った(図2)。
- 4月中旬に不耕起播種したあと、出芽前に非選択性除草剤(グリホサート)を散布して生育中の雑草を枯死させ、ノビエの4葉期以降(水稲の草丈10cm程度)にシハロホップブチル・ベンタゾン剤を散布し、数日後に湛水し、減水深が安定した後に、適切な初期除草剤を散布する。播種前後の2回行っていた雑草防除を1回に削減し(図2)、圃場の均平度の向上により雑草の防除効果は向上した。
- 水稲の生育は有効茎歩合が高く(図3)、移植水稲と同等の収量が得られた(表2)。
- 1日3~4haの不耕起播種が可能で、10a当りの延べ作業時間も6.6時間と省力的である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
南東北以西の冬期の降雨量が少なく、天候が安定している地域で、代かきを省いても減水深が適正範囲に維持できる圃場で適用ができ、規模拡大を図る場合に有効な技術である。なお、関東・東海地域におけるシハロホップブチル・ベンタゾンの乾田直播栽培への適用については、農薬登録を申請中である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
乾田直播
規模拡大
雑草
省力化
除草剤
水田
水稲
施肥
農薬
播種
防除
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