タイトル | 大規模家族経営の規模拡大志向に影響する要因 |
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担当機関 | 農業研究センター |
研究期間 | 1998~2000 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1998 |
要約 | 岐阜、愛知、三重3県のアンケート調査データの解析によると、大規模家族経営における規模拡大志向は、後継者の就農可能性、農業地域条件、経営者の職歴、雇用の有無等に影響される。 |
背景・ねらい | わが国農業が国際競争力を持つには、規模拡大をより一層促進し、生産性の高い経営体を多数育成していくことが急務である。そのためには、まず大規模経営の規模拡大志向を規定している要因、中でも経営の内部要因について様々な角度から分析を行う必要がある。 |
成果の内容・特徴 | 東海農政局からの要請を受け、同農政局が平成9年4月に行ったアンケート調査の原データを用い、規模拡大志向を規定する地域的要因及び経営内要因の解析を行った。岐阜、愛知、三重3県の農産物販売金額3千万円以上の家族経営320戸を「規模拡大志向経営群」と「現状維持・規模縮小志向経営群」にグループ分けし、数量化Ⅱ類を適用して次の諸点を明らかにした。 1)農業地域条件、販売規模、経営者の年齢、経営者の職歴、後継者の就農可能性、雇用の有無の6要因によって、8割前後の確率(現在の制度・政策条件を前提)で、大規模家族経営を「規模拡大志向経営群」と「現状維持・規模縮小志向経営群」に区分できる(表1下段の数値)。 2)各営農類型に共通した特徴を、表1と表2の数値に着目して整理すると、次のようになる。ア.規模拡大志向は後継者の就農可能性に強く影響される。表2の「既に経営に参画」、「学生だがいずれ就農」の2つの項目の数値はプラスの大きな値となっており、このような条件下の経営で規模拡大志向が強い。イ.農業地域条件が及ぼす影響も比較的大きい。特に「平地農業地域」の数値はすべてプラスの値になっており、生産条件に恵まれた平坦地で規模拡大志向が強い。ウ.「5千万円以上規模の経営」よりも「3~5千万円の経営」で(露地野菜経営を除く)、また「雇用無し」よりも「雇用有り」で、さらに「卒業後すぐ就農した経営者」よりも「そうでない経営者」で(稲作経営を除く)規模拡大志向がみられる。 3)営農類型ごとの特徴を、表2の数値に着目して整理すると次のとおりである。ア.販売価格の安定している稲作と酪農で規模拡大志向がやや強い。イ.酪農は、山間農業地域にあっても規模拡大志向がみられる。ウ.酪農や養豚などの畜産経営では、後継者の確保できないことが規模拡大志向に対してやや強いマイナス効果をもつ。エ.雇用労働に依存する作業場面の多い露地野菜や施設野菜経営では雇用の有無の影響が相対的に大きい。 |
成果の活用面・留意点 | 本情報は、東海地域以外にも一般化し得ると思われるが、適用に際しては十分注意すること。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 規模拡大 経営管理 大規模経営 乳牛 豚 |