タイトル |
青色申告を活用した土地利用型農業の経営診断・分析指標 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
家族経営が大宗を占める土地利用型農業を対象に、青色申告書データの活用を念頭に置いて、収益性、財務安全性、生産性に関する経営診断・分析指標と、その入出力フォーマットを策定した。
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背景・ねらい |
経営改善を進めていく上では、自経営の経営成果を客観的に診断・分析し、問題点を把握する必要がある。しかし、一般の経営分析手法は、複式簿記の記帳を前提としていることや、土地利用型農業あるいは家族経営の特質を考慮していないため、営農現場で十分活用できるものとなっていない。そこで、記帳者が多い青色申告書を活用した土地利用型の家族経営向けの診断・分析指標を策定した。
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成果の内容・特徴 |
- 土地利用型農業経営の多くは資本利益率の向上を主目的とする企業体ではないこと、また、一戸当たり農業所得は家としての混合所得にすぎないことを踏まえ、収益性には、農業経営が働く場として他産業従事者に比較し経済的に魅力あるものとなり得ているかを判断する指標として専従者労働報酬(算出方法は表1参照)を設定した。
- 土地利用型の家族経営では、財務安全性の判断が土地資産の評価により大きく左右されること、収入や支出に季節性があり期末時点の流動性分析では不十分なこと、さらに農地購入においても家産の取得を意識した行動がとられ易いことから、財務安全性指標として、利息負担の多さや資金繰りの可能性を評価する6指標(表1参照)を策定した。
- 生産性指標として一般に用いられる付加価値率や農業純生産額は経営改善に直接活用できないことを踏まえ、作目別単収、面積当たり投下労働時間、生産費など技術効率に関わる数値を用いることとした。
- 自経営の数値のみで客観的な検討が可能な収益性及び財務安全性指標を計算する表計算ソフトを用いた入出力フォーマットを作成した。
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成果の活用面・留意点 |
- より詳細な診断・分析のためには、さらに複式簿記や作業日誌等の記帳の整備を図っていくことが望ましい。また、本成果は家族経営を念頭に置いているが、資本集約型の法人経営に対しては一般の経営分析指標が有効である。
- 本成果の入出力フォーマットは、標準比較指標(「農業経営統計調査」個別結果表を利用申請中であり、使用許可が得られれば、その組替集計により類型別平均値等を作成)と併せてインターネット上で提供していく予定である。
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図表1 |
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カテゴリ |
経営管理
経営診断
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