タイトル |
アブラムシのウイルス保毒検定によるダイズわい化病感染時期と発生程度の推定 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
酵素結合抗体法によるアブラムシ1個体ごとのダイズわい化ウイルス検出法と、アブラムシ有翅虫捕獲用の幼苗トラップを組み合わせることにより、野外アブラムシのウイルス保毒状況を把握し、わい化病の感染時期と発生程度を推定できる。
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背景・ねらい |
ダイズわい化病は東日本におけるダイズの重要な生産阻害要因の一つである。本病の病原ウイルス(ダイズわい化ウイルス、SbDV)は、限られた種類のアブラムシにより媒介される。したがって、ダイズ圃場に飛来する媒介アブラムシを効率的に捕獲し、虫体からウイルスを検出して保毒状況を調査することは、ダイズわい化病の感染時期と発生程度を推定し、効果的な防除対策を講じる上で極めて重要である。
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成果の内容・特徴 |
- アブラムシ虫体磨砕液をクロロホルムで処理することにより(図1)、モノクローナル抗体を利用した酵素結合抗体法(TAS-ELISA)で保毒アブラムシ1個体ずつからSbDVを簡易に検出できる。
- 初生葉期のダイズ苗を植えたビニールポット15個(1個あたり3~4本、合計50~60本)を3台の黄色水盤(42.5×28.5cm)に1台あたり5個ずつ並べた幼苗トラップで、生きたアブラムシ有翅虫を効率的に捕獲でき、同時にわい化病の感染率も調査できる。
- 上記方法により北海道芽室町のダイズ圃場でジャガイモヒゲナガアブラムシ有翅虫の保毒状況とわい化病の感染時期を調査したところ、保毒虫数と保毒率はいずれも5月末~6月中旬に増加し、トラップ苗のわい化病感染時期と良く一致した(図2)。一方、アブラムシ有翅虫の捕獲数は7月に急増し、第5半旬の捕獲数は242個体にまで達したが、その保毒率は0.8%と極めて低く、トラップ苗でのわい化病感染も認められなかった。したがって、ダイズわい化病感染時期の推定には、圃場に飛来したアブラムシの時期別保毒虫数と保毒率の把握が重要である。
- さらに、北海道芽室町と鹿追町の幼苗トラップで捕獲したジャガイモヒゲナガアブラムシ有翅虫の保毒虫数および保毒率とトラップ苗のわい化病感染率の間には正の相関が認められ、アブラムシの保毒調査からわい化病の発生程度が推定できる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- アブラムシの保毒調査によりわい化病発生程度の高い地域が推定でき、防除対策の立案と被害防止に役立つ。
- アブラムシ有翅虫の飛来初期の保毒虫数と保毒率からその年のわい化病の発生程度を予測して防除要否を判定する予察システムを開発できれば、防除コストの削減が可能となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
コスト
大豆
ばれいしょ
防除
わい化
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