タイトル |
畑圃場におけるプレファレンシャルフローのモデル化 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1999~2002 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
土壌浸透水が粗大孔隙等を通過する際に生じるプレファレンシャルフローは、仮想混合槽の数と圃場容水量に対する可動水の割合で特徴づける完全混合槽列改変モデルで表されることを明らかにした。本モデルは、土壌表面に散布した非反応性のトレーサの浸透水中濃度と積算浸透水量を情報として必要とする。
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背景・ねらい |
公共用水域及び地下水の硝酸性窒素が新たに環境基準に追加され、畑地においても硝酸性窒素の溶脱量を低減することが求められている。亀裂等の発達した土壌ではプレファレンシャルフロー(バイパス流等の不均一な土壌浸透水流の総称)が生じやすいために、硝酸性窒素の溶脱が加速されることが指摘されてきた。しかし、適切なモデルがないために発生したプレファレンシャルフローを数量的に表すことは難しい。そこで、広範な流動状況を表現できる完全混合槽列モデルを、非定常で不動水領域の存在する土壌システムに適用・改変し、プレファレンシャルフローのモデル化を試みた。
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成果の内容・特徴 |
- 本モデルでは、1)土壌水分が圃場容水量となった時に浸透水が生じる、2)圃場容水量に対する可動水の割合[fm (-)]は変化しない、3)降水はトレーサを含まない、との仮定のもとに、非定常な土壌システム内の滞留時間を正規化時間{τ (無次元),積算浸透水量(L m-2)を目的深までの土層内の重力排水後水分保持量[V(L m-2)]で除したもの}として表現した(図1)。土壌システムを n 個の仮想完全混合槽に分割した場合、トレーサの滞留時間分布関数{E,土壌表面にパルスとして散布した非反応性のトレーサの目的深における濃度[Cn (mg L-1)]にVを乗じて、散布量[M (mg m-2)]で除したもの}として以下の式を得た。
[1] ここでΓはガンマ関数。 nの変化により土壌浸透水の様々な流動状況の表現が可能である(図2)。 n=1は完全混合を、n=∞はピストンフローを示す。またfmは、 fm=1のグラフを横軸方向にfm倍、縦軸方向に1/ fm倍拡大させる効果を持つ。
- [1]式で表されるグラフの極大値[Mfm,n (τmax, Emax)]は以下の式で表現できる。
[2] この関係(図3)から、測定で得られる最大値に適合するnとfm を決定することができる。
- 亀裂の発達した土壌モノリスに非反応性のトレーサとしてBr-を散布した実験結果に本モデルを適用したところ、発生したプレファレンシャルフローをnとfm で表現できた(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
本モデルの活用により、異なる実験で生じたプレファレンシャルフローを比較することができる。今後は土壌特性や降雨条件がパラメータに及ぼす影響を検討する必要がある。また、本モデルと化学反応モデルを組み合わせることにより、プレファレンシャルフローの優位な土壌での環境影響物質の動態予測が可能になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
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