タイトル |
卸売市場流通における立地移動と集出荷活動の動向 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
1980年~95年にかけて卸売市場流通は広域化している。流通広域化を立地移動と集出荷活動に区分してみると、指定野菜14品目のうち多くは集出荷活動による広域化が立地移動の広域化を上回っている。卸売市場流通において集出荷活動が激しくなり、輸送効率の低下傾向が多くの品目でみられる。
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背景・ねらい |
卸売市場流通において、その広域化は重要な動向とされている。しかし、広域化を全国的に分析した成果や立地移動と集出荷活動の変化を区分した成果は少ない。また、卸売市場流通の輸送効率を計測した成果も少ない。立地移動と集出荷活動の区分、卸売市場流通の輸送効率などは卸売市場流通の分析、評価のために重要なものであり、これらの指標による定量的な分析が必要である。
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成果の内容・特徴 |
- データは54中央卸売市場の月別データを過重平均して年別データとし、これを3年間毎に単純平均したものを各期のデータとしている。
- 全国54中央卸売市場における、指定野菜14品目の実際の輸送距離(以下「実現輸送距離」)は多くの品目について広域化が90年代に入っても継続している(図1)。14品目の平均では、15年間で295.3km(100%)から398.6km(144.6%)になっている。
- 線形計画法の輸送問題を援用し(図2)、卸売市場流通全体の輸送距離(以下「最適解輸送距離」)が最小になる産地・市場間の輸送関係を明らかにした。
- ここでは実現輸送距離動向を、立地移動動向と卸売市場活動の集出荷活動動向に区分する。そのため、最適解距離動向を立地移動動向ととらえ、実現輸送距離からこの立地移動動向を控除したものを集出荷活動動向とし、両者の比を実現輸送距離動向への相対的寄与割合とした(図3)。集出荷活動動向が立地移動動向以上に広域化に寄与している品目が多い。
- 最適解輸送距離と実現輸送距離の差は、需給関係を実現できる必要最小限の輸送距離に対して、実際の輸送が実現される時に追加的に必要とされた距離(追加的コスト)である。例えば、95年の野菜14品目の取扱量は約5,118千t、追加的距離の14品目平均は51.9km、品目毎の追加的コストを合計した総追加的コストは約79,248千t・kmとなる。これは、20tトラック1万台で約396km輸送するコストに相当する。この割合が高いほど輸送効率は低下していると判断できる(表1)。14品目平均の追加的距離割合は78-80年期113.5%、93-95年期で115.3%であり、増加している品目はきゃべつ、ねぎなど11品目、減少している品目はだいこん、にんじん、さといもの3品目となる。
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成果の活用面・留意点 |
各中央卸売市場と中央卸売市場流通全体の需給関係を所与として、輸送距離をデータとした分析、評価であることに注意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
キャベツ
コスト
さといも
出荷調整
だいこん
にんじん
ねぎ
輸送
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