タイトル |
畑地の太陽熱処理及び土壌の加温処理による有害線虫密度及び雑草発生の抑制効果 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
夏期に圃場を太陽熱処理すると、地表から10cmまでの線虫数及び処理後1ヵ月の雑草発生が顕著に抑制される。また、土壌の加温試験では、有害線虫密度は40℃で72時間以上、雑草発生数は45℃で7日以上の処理で明らかに抑制される。
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背景・ねらい |
野菜の生産阻害要因として重要な有害線虫の防除にあたって、農薬に代わる環境保全型技術が求められている。このような技術の一つとして、圃場表面をプラスチック・フィルムで被覆する太陽熱処理があり、これは線虫とともに雑草の防除効果も期待できる。この技術を、7月下旬から8月上旬に播種する秋冬ニンジンの環境保全型生産技術体系へ導入するため、圃場試験及び土壌を加温する室内試験によって効果を確認する。
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成果の内容・特徴 |
- ポリエチレン・フィルム(透明、厚さ0.03mm)で畝面を被覆する太陽熱処理を7月に行うと、地表から10cmまでの線虫密度が顕著に減少する(図1)。また、スベリヒユ以外の雑草発生数は、無処理と比較して、処理完了後の1ヵ月間は有意に抑制される(図2)。
- ポリエチレン袋に入れた土壌を恒温水槽で加温する室内試験において、土壌からサツマイモネコブセンチュウが検出されなくなる加温条件は、50℃で1時間以上、45℃で4時間以上、40℃で72時間以上である(図省略)。35℃以下の処理効果は低い。
- キタネグサレセンチュウの数が処理前と比較して0.1%未満となる加温条件は、50℃で1時間以上、45℃で24~72時間以上、40℃で72~120時間である(図3)。
- 土壌の加温処理4週間後の雑草の発生が、処理時間は同じでより低い処理温度と比較して有意に抑制される条件は、55℃で6時間以上、50℃で48時間以上、45℃で168時間以上(7日間)である(図4)。40℃以下の処理効果は低い。
- 太陽熱処理時(平成11年6月29日~7月27日)の被覆下の最高地温の平均は、深さ5cmでは36.0℃、10cmでは35.1℃、15cmでは33.5℃、20cmでは32.2℃となった。深さ5cmの値は、無処理区の最高地温より8.2℃、また、最高気温より7.4℃高い。なお、8月に処理した場合、被覆下の地表面の最高温度は62℃、深さ2cmでは55℃となった。
- 雑草の抑制は、温度上昇によって地表近くにある種子の発芽が抑制されるとともに、発芽した雑草が熱によって被覆下で枯れことによると判断される。
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成果の活用面・留意点 |
- 施肥、耕起及び畝立て(幅110cmの平畝)後に、畝面をポリエチレン・フィルムでマルチをして太陽熱処理を行う。処理後にフィルムを取り去った後は、処理効果の高い表層と効果の低い下層の土壌が混じるのを避けるため、耕起を行わずにニンジンを4条に播種する。
- 秋冬ニンジン栽培では、播種前の殺線虫剤及び播種時の除草剤の施用は不要となる。
- 7月から8月に、7~10日以上晴天が続いた場合に効果が期待できる。
- 夏秋期の露地野菜に適用可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
除草剤
施肥
にんじん
農薬
播種
防除
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