タイトル |
野菜農家における堆肥の利用実態と利用促進上の課題 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
I市の野菜農家における平成10年度の堆肥利用割合は6割弱である。堆肥利用効果として品質向上、収量増加等、堆肥利用上の問題点として散布負担、高価格、また要望として土壌診断、堆肥成型化、成分表示を農家が挙げる割合が高い。
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背景・ねらい |
堆肥の流通・利用を促進させるためには、耕種農家サイドにおける堆肥利用の実態や問題点、要望等を把握しておくことが必要である。そこで、これらについて野菜農家(主作目はネギ、レタス、ハウストマト)を対象に調査する。
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成果の内容・特徴 |
- アンケートを実施した関東北部に位置するI市では、有機質分を含んだ肥料の使用や減農薬栽培を行うなど「環境保全型農業」を推進している。平成10年度の堆肥利用割合は全体で57%であり、うちハウス栽培も行っている農家での利用割合は80%と高い(図1)。
- 堆肥利用の効果として、露地では、農産物の品質・評価の向上、収量の増加、ハウスでは、化学肥料使用量の削減、農産物の品質・評価の向上等を意識する割合が高い(図2)。
- 堆肥の散布面積が小さく、また若年男子労働力が確保されていない農家では、価格が高くても運搬や成分調整作業への負担が相対的に小さい袋詰堆肥を主に利用している。他方、散布面積が大きく、また若年男子労働力が確保されている農家では、JA袋詰堆肥の利用割合を減らし、価格が相対的に安い家畜ふん堆肥や自家製堆肥も利用している(図3)。
- 堆肥利用農家の4割が利用量増加の意向を、未利用農家の8割が新規利用意向を持っており、野菜農家は堆肥利用に対して積極的といえる。ただし、利用上の問題点として、堆肥利用農家では堆肥の高価格、散布作業の負担、機械・設備の不足を、未利用農家では以上に加えて堆肥の製造・保管場所を挙げる割合が高い(図4)。なお、堆肥の購入価格と農家の希望価格を比べると、JA堆肥で1袋(15~20kg)当たり180~280円、家畜ふん堆肥で1t当たり1,000~2,300円程度の開きが生じている(表1)。
- 堆肥利用や土作りに関する要望としては、堆肥利用農家では土壌診断や堆肥の成分表示を、未利用農家では堆肥の成型化や施用量の指導等を挙げる割合が特に高いことが確認される(図5)。なお、堆肥の成型化に関しては、未利用農家のなかでも特に、新規利用意向を持つ農家や、運搬や散布作業を問題とする農家において強く要望されている。
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成果の活用面・留意点 |
- 耕種農家サイドにおける堆肥の利用促進を図っていく上での情報として活用できる。
- 今後、堆肥の施用効果の定量的把握、並びに堆肥と代替関係にある土壌改良材や緑肥作物を利用した場合との比較検討がさらに必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
土壌改良
土壌診断
トマト
ねぎ
農薬
レタス
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