タイトル |
コントロールド・トラフィックシステムによる大豆・小麦の長期連作 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
ワイドトレッド・トラクタと不耕起施肥播種機を組み合わせたコントロールド・トラフィックシステムにより大豆・小麦の連作を8年間続けても、土壌の膨軟性が維持でき省力的で安定した収量が得られる。
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背景・ねらい |
農作業における土壌の圧密とそれに伴う耕盤の形成は作物生育上の支障となるばかりでなく土壌改善のために耕起等のエネルギが投入することになり、土壌の膨軟性を維持することのメリットは大きい。ワイドトレッド・トラクタと不耕起施肥播種機を組み合わせたコントロールド・トラフィックシステムで、大豆・小麦の連作を平成5年度より8年間行い、土壌の膨軟性維持効果を明らかにし、省力・高位安定化生産の可能を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 走行路と作付部を明確に分けトラクタは常に一定の走行路を走るコントロールド・トラフィックシステム(試作した輪距2.4mのワイドトレッド・トラクタ(46ps)使用)の圃場において大豆・小麦の連作を8年間続けたが、大豆収穫期の土壌硬度は、深さ20cmまでの平均で1.04MPaと慣行の耕うん整地作業体系圃場に比べて小さく、土壌の膨軟性が維持される。また、収量は連作4年目の播種機の故障による大豆収量の落ちこみを除くと平均収量が250kg/10a(大豆)、443kg/10a(小麦)となり安定している(図1、図2、図3)。
- コントロールド・トラフィックシステムで不耕起施肥播種作業(大豆条間60cm・株間8cm、小麦条間30cm・播種量7kg/10a)及び防除、中耕、麦踏み等の管理作業を行うと、慣行の耕うん整地作業体系と比較して大幅な燃費削減と作業時間短縮が可能である(図4)。
- コントロールド・トラフィックシステム圃場のダイズシストセンチュウ密度は連作期間中極めて低い状態で推移している。また、慣行の耕うん作業体系圃場に連作5年目からコントロールド・トラフィックシステムを導入した区画では線虫がより早く減少し、転換3年目にははとんどみられなくなる(図5)。線虫密度が小さい区では拮抗菌のパステリアが共通して見られ、コントロールド・トラフィックシステムを導入した圃場では卵に寄生する糸状菌が他の圃場より多く見られる。
1)走行路と作付部を明確に分けトラクタは常に走行路を走るコントロールド・トラフィックシステムの圃場において大豆・小麦の連作を8年間続けたが、慣行の耕うん整地作業体系圃場の大豆収穫期の土壌硬度に比べ小さく深さ20cmまでの平均硬度は1.04MPaで維持されており、収量は連作4年目の播種機の故障による大豆収量の落ちこみを除くと平均収量が250kg/10a(大豆)、443kg/10a(小麦)となり安定している(図1、図2、図3)。 2)コントロールド・トラフィックシステムでは輪距2.4mのワイドトレッド・トラクタ(46ps)を供試し、不耕起施肥播種作業(大豆条間60cm株間8cm、小麦条間30cm播種量7kg/10a)及び防除、中耕、麦踏み等の管理作業を行い、慣行の耕うん整地作業体系と比較して大幅な燃費削減と作業時間短縮が可能である(図4)。なお、雑草防除は施肥播種時の土壌表面砕土と土壌処理剤散布及び中耕による初期除草に努める。 3)コントロールド・トラフィックシステム圃場のダイズシストセンチュウ密度は連作期間中極めて低い状態で推移している。連作5年目より慣行の耕うん整地作業体系圃場はダイズシストセンチュウの減衰期に入ったが、同時期にコントロールド・トラフィックシステムに転換した区画では線虫がより早く減少し転換3年目にはみられなくなる(図5)。線虫密度が小さい区では拮抗菌のパステリアが共通して見られ、コントロールド・トラフィックシステムを導入した圃場では卵に寄生する糸状菌が他の圃場より多く見られる。
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成果の活用面・留意点 |
- 大豆・小麦連作における作業体系のための参考資料となる。
- 淡色火山灰土畑圃場における結果であり、他の土壌では結果が異なる可能性がある。
- ワイドトレッド・トラクタの輪距が大きいため枕地が大きくなる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
小麦
雑草
除草
施肥
大豆
土壌処理
燃費削減
播種
防除
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