タイトル |
NMR局所スペクトル法による食品成分の分布の画像化 |
担当機関 |
食品総合研究所 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
食品の品質を非破壊的に測定・評価する手法として、NMRイメージングと組み合わせたNMR局所スペクトル法を開発し、ソーセージの組織構造と水および油の分布の解析に応用した。
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背景・ねらい |
1H-NMRイメージングは1H-NMRシグナルをもとに非破壊で断面像を得る手法であり、水素核1H:プロトン)の分布を示す。食品中には水や油といった1H-NMRシグナルを与える物質が多く含まれ、1H-NMRイメージは食品の構造とよく対応したイメージを与える。しかし、1H-NMRイメージは1H-NMRシグナルの総量をイメージ化するため、シグナルを与える物資に関する情報を得ることができない。そこでNMRイメージと対応させたNMR局所スペクトルを測定することにより、品質とも関係する食品成分の分布に関する情報を得ることができた。
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成果の内容・特徴 |
- 1H-NMRイメージの横軸(X軸)のある1点において、縦に長く切り出した面について縦軸(Y軸)方向に細かく切り出し(256ポイント)、その各部位のスペクトルを得て画像(局所スペクトルイメージ)とする手法を開発した。
- 局所スペクトルイメージではX軸は化学シフト、Y軸は対応するNMRイメージのY軸となっており、対応するイメージ上の各部位における食品成分のNMRシグナルを画像として表示することができ、そこから成分の分布を知ることができる(図)。
- 3種類の製造法の異なるソーセージの1H-NMRイメージと1H-NMR局所スペクトルイメージを比較すると、製造法の違いによる水と脂肪の分布の違いをイメージとして捉えることができるのがわかる。サラミは脂肪のシグナルだけでできており、魚肉ソーセージは水と脂肪が均一に存在する。荒引きソーセージではNMRイメージ中央のシグナルの強い(白い色)部分は脂身であることがわかる。
- 本手法は食品の構造とそれに対応した成分の分布を知ることができ、食品の品質評価や品質変化の測定法として有効な手法と考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
本測定のためにはNMRイメージング装置が必要であるが、現段階では医療分野を除いてはまだ装置が普及していない。データの蓄積も医療分野以外ではほとんどなく、利用に当たっては、試料毎に試料の性質を考慮した上で、測定パラメーター等を明らかにする必要がある段階である。
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図表1 |
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カテゴリ |
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