糖鎖および関連誘導体の機能開発に関する研究

タイトル 糖鎖および関連誘導体の機能開発に関する研究
研究期間 1995~1997
研究担当者 小林幹彦
舟根和美
発行年度 1995
要約 サイクロデキストランの生理活性を検討し、ムシ歯菌S. mutansの水不溶性グ ルカン合成酵素の活性を著しく抑制することを明らかにした。この作用はう蝕予防の機能をもつ新しいオリゴ糖として実用化に進み得る可能性を示唆している。
背景・ねらい 本研究ではすでに新規環状オリゴ糖として報告したサイクロデキストランにつ
いて、その機能開発をめざして生理活性の作用を検討した。サイクロデキストラ
ンはBacillus circulans T-3040株の酵素作用によって合成される環状オリゴ
糖で、これらの糖がむし歯の原因物質の1つとされる水不溶性グルカン(ムタン
)の合成を抑制する効果について、グルカン合成酵素の阻害反応を目安として、
検討を進めた。
成果の内容・特徴
  1.  サイクロデキストランは既に報告した方法によって調製し、ここでは主とし
    て7糖(CI-7)と8糖(CI-8)を用いた。
  2.  グルカン合成酵素はLeuconostoc mesenteroides, Streptococcus mutansか ら調製した。CIの阻害作用は生成還元糖量、生成グルカン量を定量して求めた。
    また、HPLCカラムを用いて反応生成物全体の変化を分析した。
  3.  L. mesenteroidesのデキストラン合成酵素がショ糖からデキストランを合成
    する反応にCIを添加し、90%以上の阻害を生じることがわかった。
  4.  この阻害は還元糖およびグルカン量の両者の生成を抑制するものであった。
    反応速度論的な解析により、CIは基質のショ糖に対して拮抗阻害を呈し、阻害定
    数(Ki)はCI-7で0.25、CI-8で0.64mMと低濃度域で極めて強い阻害を与えた。
  5.  デキストラン合成の阻害は α-CD、パラチノース、マルチトールなどに比 べてはるかに強い結果が得られた(
    図1 )。
  6.  生成分のHPLC分析ではショ糖の消費が強く抑制されていることが示された(
    図2 )。
  7.  S. mutansのグルカン合成酵素の反応において2gのショ糖を基質として生するムタン量にCI添加系で高い効果が見られた(
    図3 )。
成果の活用面・留意点 サイクロデキストランがむし歯菌、S. mutansの水不溶性グルカン合成酵素の 作用を著しく抑制することが明らかとなった。この作用は食品素材としてう蝕予
防の効果を利用できる可能性を示唆している。食品用素材としてサイクロデキス
トランを用いる場合にはその価格が大きな問題になる。デンプンに比べてデキス
トランは医薬用に用いられているために高価格を維持しており、生産コストの低
減化を図る必要がある。
図表1 224429-1.gif
図表2 224429-2.gif
図表3 224429-3.gif
カテゴリ コスト

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