タウリン合成酵素の制御機構の解明

タイトル タウリン合成酵素の制御機構の解明
研究期間 1995~1995
研究担当者 井手 隆
村田昌一
発行年度 1995
要約 含硫アミノ酸代謝産物、タウリンの合成系酵素の活性は種々の食品成分や薬剤により特徴的に変化することが示された。
背景・ねらい 含硫アミノ酸代謝産物であるタウリンは種々の生理活性を持つ物質として知ら
れている。タウリンは魚介類をはじめとする種々の食品にも含まれるが、タウリ
ンが食餌から供給されない場合、生体内での含硫アミノ酸からの生合成がその唯
一の供給源となる。しかし、食品成分がタウリン合成系酵素の活性に与える影響
に関する知見は少ない。本研究では食品成分や薬剤が生体内でタウリン合成が最
も活発な組織である肝臓でのタウリン合成酵素(システインジオキシゲナーゼ、
システインスルフィン酸脱炭酸酵素およびアスパラギン酸アミノ転移酵素)の活
性、組織タウリン濃度および尿中タウリン排泄に与える影響についてラットを用
いた動物実験で調べた。
成果の内容・特徴
  1. 従来の放射性同位元素法に換えて、HPLC法によるシステインスルフィン酸脱炭
    酸酵素の活性測定法を開発した( 図 )。
  2.  低含硫アミノ酸タンパク質、水溶性食物繊維、コレステロール、胆汁酸およ
    びタウリン低下剤(グアニジノエタンスルフォン酸)をラットに投与すると肝臓
    を含めた種々組織のタウリン濃度は低下した( 表)。
  3.  システインジオキシゲナーゼ活性はこのように組織タウリン濃度が低下する
    条件で低下した。一方、システインスルフィン酸脱炭酸酵素活性はこのような条
    件下で低下する場合と逆に誘導される場合があることがわかった。アスパラギン
    酸アミノ転移活性も種々条件下で変化するが、その程度は小さかった( 表)。
  4.  以上のようにシステインジオキシゲナーゼ活性は組織タウリン濃度と平行し
    た変化を示すことから、本酵素はタウリン合成の制御酵素であると判断された。
  5.  尿中タウリン排泄量はタウリン低下剤処理条件下を例外として組織タウリン
    濃度やシステインジオキシゲナーゼ活性が減少する条件下で減少することから、
    生体内のタウリン合成能を反映すると考えられる( 表
成果の活用面・留意点 )。果の活用面・留意点 本研究により種々の食品成分により組織タウリ ン濃度が変化すること、またこの変化はタウリン合成系酵素活性の変化に基づく
ことが明らかとなった。タウリンは生体内で種々の生理活性を示す物質であり、
このようなタウリン代謝系の変化が生体に与える影響について追求することが食
品の機能性や安全性を評価する上で重要である。
図表1 224430-1.gif
図表2 224430-2.gif
カテゴリ 機能性 薬剤

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