タイトル |
微生物多糖の酵素合成に関する研究 |
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研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
舟根和美
小林幹彦
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発行年度 |
1995 |
要約 |
[Leuconostoc mesenteroides B-512F(野生株)とその構成的変異株SH3002からデキストランスクラーゼを高純度に精製する新しい方法を確立した。これらの酵素を用いることによって、
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背景・ねらい |
Leuconostoc masenteroidesは、スクロース存在下で培養すると、デキストランスクラーゼの働きで、粘性 のある多糖デキストランを培地中に蓄積する。本酵素のデキストラン合成機構を 明らかにするためにまず、B-512F株の酵素の精製法を確立し、次に基質であるス クロースおよびデキストランが酵素のどのアミノ酸残基に結合するかを化学修飾 法により解析した。
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成果の内容・特徴 |
- L. mesenteroides B-512Fと、その構成変異株SH3002のデキストランスクラーゼの新規精製法を
確立した。 - 分子量は、SDS-ゲル電気泳動で170kDaであった。DSW-DのSDS-ゲル電気泳動結果を
図1 に示す。 - スクロース存在下でEDCで修飾すると、失活が抑えられ、デキストラン存在 下では、スクラーゼ活性の失活を促進し、トランスフェラーゼ活性の失活をやや
抑えた。 - DEPによる失活には、スクロースやデキストランの添加効果がなかった。
- OPAによる活性の低下は、スクロース、デキストランおよびスクロースモノ カプロン酸によって抑制された。
- スクロースモノカプロン酸でEDCの修飾から保護された領域を、EDANで蛍光 ラベルし、Leu-Gln-Glu-Asp-Asn-Val-Val-Val-Glu-Alaと、アミノ酸配列を決め
た。これは、Streptococcus mutansの酵素と比べると、活性中心のアスパラギン酸よりも約アミノ酸30~40残基N ・末端側の位置に相当した( 表1 )。 - スクロース、デキストラン、またはスクロースモノカプロン酸存在下でOPA 修飾した酵素から得たペプチドのアミノ酸配列を決定し、Streptococcusのデキストラン合成酵素のアミノ酸配列と比較した(
表2 )。活性中心よりN・末端側のペプチド2つ(Peptide E,F)にはスクロース およびデキストランに結合するリシンが含まれ、活性中心よりC-末端側のペプチ ド2つ(Peptide C,D)にはデキストランに結合するリシンが含まれることを示 唆した。 - 以上の結果から、デキストランスクラーゼでは、活性の発現において、カル
ボキシル基が最も重要でリシン残基が補助的な役割を果たし、ヒスチジン残基は
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成果の活用面・留意点 |
これらより重要性が低いものと考えられた。果の活用面・留意点 野生株と 変異株のデキストランスクラーゼの新規精製法を明らかにした。この酵素を用い ることで高分子量のα-グルカン合成が高い効率で行えることになった。酵素分 子内で基質との結合に関与するアミノ酸残基を明らかにし、機能改変のための有 力な情報をもたらすことができた。 |
図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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