タイトル |
打音によるメロンの携帯用非破壊果肉硬度計の開発 |
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研究期間 |
1994~1995 |
研究担当者 |
杉山純一
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発行年度 |
1996 |
要約 |
メロンに全く損傷を与えず、持ち運びに便利な大きさで、果肉硬度を迅速・正確・再現性よく測定できる小型(ポータブル)非破壊果肉硬度計を開発した。本装置により、メロンの生長モニタリングも可能である。 |
背景・ねらい |
高付加価値野菜であるメロンの生産あるいは流通の各現場では、非破壊で手軽に品質評価ができる装置の開発が強く望まれている。これまでの研究で、メロンを叩くとその振動(打音)がメロンの表面を周回する現象がみられ、さらにその伝搬(周回)速度がメロンの果肉硬度の指標となることがわかった。この原理を応用して、電源のない圃場でも計測可能な小型の非破壊果肉硬度計の開発を行うと共に、メロンの生長過程のモニタリングを試みた。
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成果の内容・特徴 |
- 小型化するために、従来、振り子で叩いていた部分を、ピストル型とし、その口径部分からプランジャで叩く機構を開発した。(図1)
- センサ部分に相当するマイクロフォンを打撃装置と一体化することにより、ノイズの少ない打音信号を採集でき、操作性も向上した。
- システム全体としては、センサに相当するピストル部分(約250g)と市販のサブノートパソコン(約1.5kg)からなり、パソコンのバッテリ駆動により、どこでも容易に計測可能となった。
- メロン果肉の圧縮試験から求めた硬度(見かけの弾性率)と測定された伝搬速度との相関は、r=0.94であり、その分布は官能検査ともよく一致した。(図2)
- 品種の違うメロンに対しても同様に高い相関が見られたが、回帰式は異なったものとなった。
- 生育中のメロンにおいては、伝搬速度は徐々に高くなっていき、そのピークに亀裂が生じて網目となることが明らかになった。(図3)その後、伝搬速度は緩やかに減少し、収穫後は、追熟による急激な減少が観察され、メロン果実の生理的変化をよく捕らえることができた。特に、伝搬速度のピークは、生産者が実際に指先での打音で水管理をして網目制御しているノウハウとよく一致していた。
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成果の活用面・留意点 |
- 上記5.の結果から、実際の活用にあたっては、熟度(官能評価値)と伝搬速度との関係を品種ごとに用意しておく必要がある。
- 伝搬速度のピークをモニタリングし、適切な水管理を行うことで網目の制御が可能なため、栽培分野での活用も考えられる。
- 製品化については技術的には容易であるが、マーケッティングの判断が民間側でつきかねず、当面は試作機という形で研究現場での利用・普及を期待したい。(コスト的にはかなり安価になり得る。)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
高付加価値
コスト
品種
水管理
メロン
モニタリング
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