3. ギャバ(γ−アミノ酪酸)を多く含んだ脱脂米胚芽の有効利用

タイトル 3. ギャバ(γ−アミノ酪酸)を多く含んだ脱脂米胚芽の有効利用
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者 三枝貴代(現
小野田明彦
発行年度 1998
要約  米油を搾り取ったあとの脱脂米胚芽からギャバを豊富に含む乾燥物を作成した。これは高血圧者に対する顕著な血圧降下作用を示す等、保健機能性をもつ食品素材である。
背景・ねらい
 米の胚芽は精米の過程で糠とともに取り除かれた後、一部米油等の原料として使われているが、搾油後は廃棄物として処理されているのが現状である。搾油後の米胚芽は油分が除去され、脂質の酸化による品質劣化が抑えられることから、食品素材としての利活用が考えられる。本研究のねらいは、搾油後利用されることのない脱脂米胚芽に動物の血圧を下げる機能等を有するγ-アミノ酪酸(Gaba:ギャバ)を蓄積して付加価値を高め、食品素材として有効利用を図ることにある。
成果の内容・特徴
  1. 脱脂米胚芽を40℃、pH5.80の蒸留水に4時間浸漬してギャバを蓄積する。胚芽の量に対する浸漬水量は、浸漬後の乾燥を考慮すると2倍量程度が適当と考えられる(表1)。  
  2. 試作した遠赤外線乾燥装置(表2、図1)と熱風乾燥機を使い、ヒーター1kw当たりの胚芽量を揃えて、水浸漬後の脱脂米胚芽の乾燥を比較した結果、乾燥2時間後の含水比は遠赤外線乾燥で10.3%、熱風乾燥で33.4%と遠赤外線乾燥のほうが乾燥効率が高い。
  3. 更年期の女性20名を対象に、ギャバを蓄積した脱脂米胚芽とプラセボ(米粉)を投与してダブルブラインドによる臨床試験を行った結果、高血圧症の6名で有意な血圧降下作用が認められる(図2)。正常域の14名では有意な血圧低下は認められていない。さらに主要な精神症状評価項目(憂うつ気分、イライラ全身倦怠感、興奮、不眠・睡眠障害、めまい等)においても全体の75%で明らかな改善作用を認めている。
成果の活用面・留意点
  1. ギャバを蓄積した脱脂米胚芽を素材とした錠剤タイプの栄養補助食品(オリザギャバ21)が市販されている他、加工食品への配合素材としての利活用が図られている。
     
  2. 穀類由来のギャバに関して、中国農試が特許「γ-アミノ酪酸を富化した食品素材」、「γ-アミノ酪酸の製造法」、「γ-アミノ酪酸を富化した脱脂食品素材(共願)」を所有している。
図表1 224497-1.gif
図表2 224497-2.gif
図表3 224497-3.gif
図表4 224497-4.gif
カテゴリ 加工 乾燥 機能性

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