34. セロビオースフォスフォリラーゼを活用した新規糖質の酵素合成

タイトル 34. セロビオースフォスフォリラーゼを活用した新規糖質の酵素合成
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1998~2000
研究担当者 林 清
発行年度 1998
要約  Cellvibrio gilvus由来のセロビオースフォスフォリラーゼ遺伝子を大腸菌で多量発現させた。得られた酵素を活用し、新規な糖質、6種類を合成した。本酵素反応では、副生成物がほとんど認められないという利点がある。
背景・ねらい
 糖質の分解は容易であるが、合成は非常に困難である。有機溶媒存在下や、高濃度糖質存在下で分解酵素の糖転移活性を活用し、糖質を合成することも可能 であるが、副生成物から分離精製が大変である。そこで、フォスフォリラーゼに着目し、各種糖質を酵素合成することとした。セロビオースフォスフォリラーゼは、これ まで、2件の遺伝子だけが登録されているにすぎないことから、Cellvibrio
gilvus由来の本遺伝子のクローニングを実施し、本酵素を多量生産し、活用することとした。
成果の内容・特徴
  1. Cellvibrio gilvus由来のセロビオースフォスフォリラーゼ遺伝子をクローニングし、本酵素の大腸菌における多量発現に成功した。
  2. 本酵素は、α-グルコース-1-リン酸をドナー、グルコースをアクセプターとし、セロビオースの合成を、あるいは、この逆反応であるセロビオースの加リン酸分解を触媒する酵素である。
  3. アクセプターとしての糖は、グルコース以外の糖でもかまわないことが判明した。
     
  4. 本酵素は、アクセプターであるグルコースのC2位、C6位で認識が甘く、グルコサミン、マンノース、マンノサミン、キシロース等の糖がアクセプターとなることを明らかにした。
  5. グルコースのC3位のOH基は厳密に認識していた。しかし、C2位とC3位のOH基がともにaxialであればアクセプターとなりうることが判明し、図1に示した3種の新規ヘテロ2糖類を合成し、その構造をFAB-MS及びNMRで確認した。
  6. C6位に関しては、電荷を持たなければ、非常にバルキーなものであってもアクセプターとなり得る。しかし、電荷を有する、グルコース-6リン酸、グルクロン酸はアクセプターとならない。
  7. 単糖以外に、1→6結合した2糖もアクセプターとなり、図2に示した、分岐構造を持つ新規な3糖類を合成した。また、その構造をFAB-MS及びNMRで確認した。
  8. 1→1、1→2、1→3、1→4結合の2糖類は、いずれもアクセプターとならない。
成果の活用面・留意点
  1. 市販されているシュークロースフォスフォリラーゼを活用し、砂糖に作用させれば、α-グルコース-1-リン酸が容易に調製できることから、原料の制約は
      ない。
  2. セロビオースフォスフォリラーゼ反応は非常に厳密であり、β1→4結合以外の副生成物は検出されなかった。
図表1 224527-1.gif
図表2 224527-2.gif
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