タイトル |
セサミン異性体の脂質代謝調節機能 |
担当機関 |
(独)食品総合研究所 |
研究期間 |
2001~2002 |
研究担当者 |
井手 隆
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発行年度 |
2001 |
要約 |
セサミンとエピセサミンはラット肝臓の脂肪酸酸化系酵素の活性を上昇させたが、その効果はエピセサミンの方が大きかった。また両者ともに脂肪酸合成系酵素の活性を低下させたが、その効果に両者の違いはなかった。酵素のmRNAレベルにも同様な変化が観察された。
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キーワード |
セサミン、エピセサミン、脂肪酸酸化系酵素、脂肪酸合成系酵素
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背景・ねらい |
従来のラットでの研究から市販セサミン標品は肝臓脂肪酸代謝系の変動を介し、脂質代謝改善機能を発揮することを明らかにしてきた。市販セサミン標品はセサミンとその異性体エピセサミンの1:1混合物(図1)であることから、今回、ラットにおけるセサミン、エピセサミンの生理作用の違いを明確にするとともに、市販セサミン標品の生理作用と体内での代謝を種々の実験動物(ラット、マウスおよびハムスター)を用い検討した。
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成果の内容・特徴 |
- セサミンとエピセサミンはともにラット血清脂質濃度(トリグリセリド、コレステロール、リン脂質)を低下させた。この効果に両者の違いはなかった。
- セサミンとエピセサミンはパルミトイルCoAを基質として測定したラット肝臓のミトコンドリアとペルオキシゾームのβ酸化活性を上昇させた。エピセサミンのβ酸化誘導作用はセサミンと比較しはるかに大きかった(図2)。脂肪酸酸化系諸酵素の活性とmRNAレベルにも同様な変化が観察された。
- セサミンとエピセサミンはラット肝臓の脂肪酸合成系酵素の活性とmRNAレベルを低下させたが、その効果に両者の違いはなかった。
- 1-3の結果から、従来観察されていた市販セサミン標品の肝臓脂肪酸β酸化亢進作用は主にエピセサミンによると考えられた。
- ラットで確認された市販セサミン標品による血清脂質濃度低下作用は、マウス、ハムスターでは認められず、また肝臓脂肪酸代謝系酵素活性にもその影響は観察されなかった(表1)。
- 市販セサミン標品を与えたマウス、ハムスターの血清と肝臓で観察されるセサミン・エピセサミンのレベ 5-6の結果から、市販セサミン標品による生理応答の動物種差は、各動物におけるセサミン・エピセサミンの代謝速度の違いによることが示唆された。
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成果の活用面・留意点 |
エピセサミンの脂肪酸代謝調節機能の報告はこれが初めてであり、この知見はゴマを活用した機能性食品の開発に活用できるものである。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
ごま
機能性食品
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