組換え農作物の安全性評価のための食品成分データベース

タイトル 組換え農作物の安全性評価のための食品成分データベース
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2001~2004
研究担当者 一色賢司
荻野周三
吉川礼次
橘田和美
宮崎奉之
牛尾房雄
金谷建一郎
市川久次
小川正
森山達哉
斉藤和夫
川本伸一
日野明寛
飯塚太由
発行年度 2004
要約 組換え農作物の安全性評価においては、従来の食品と比較し安全性の評価を行うことが必 要である。そこで、多品種の多岐に亘る食品成分について分析・調査を行い、ここで得ら れたデータを集積したデータベースを構築した。
キーワード 組換え農作物、安全性評価、食品成分データベース
背景・ねらい 遺伝子組換え食品は、近年国際的な広がりをみせており、食料の多くを海外からの輸入に頼る我が国にお いては無視することのできないものである。今後更に新しい食品の開発が進むことも予想されるため、安全 性確保の観点から、適正な安全性評価が行われなければならない。遺伝子組換え食品の安全性審査にあたっ ては、組換えDNA技術により生産物に意図的に導入された因子以外の全ての因子についても評価を行うべき である。従って、組換え技術によって生産物に付加されることが期待されている性質だけでなく、組換え技 術に起因し発生するその他の影響等についても、従来の食品と比較し安全性の評価を行うことが必要である。 実際、農作物の分析を行った報告は多いが、それぞれの研究目的に応じて分析項目や分析手法が設定されて おり、多岐にわたる食品成分の各項目を同一試料について調査した例は少ない。農産物の各成分は加工食品 と異なり品種や生産環境等の影響を大きく受けて変動するにもかかわらず、従来品に関する食品成分等のデ ータの基準とされている日本食品標準成分表に示されている分析値に関しても、分析値に変動幅があること を認識しながらも、1食品につき1標準成分値を示したものである。このように、従来品に関する食品成分 等のデータは安全性評価を実施する上で十分とは言い難い状況である。そこで、今後組換え技術を利用した 開発が予想される農作物について栄養成分、微量栄養成分、有害成分等の分析・調査を行い、ここで得られ たデータを集積したデータベースを構築することが必要となっている。
成果の内容・特徴 1.国内で栽培されているコメ(玄米)の主要10品種(15検体)を収集して分析試料とした(表1)。 2.国内で栽培されているダイズの主要8品種(10検体)を試料とした。また、輸入ダイズへの依存率が高いため、アメリカ産3検体、ブラジル産、中国産各1検体も収集し分析試料とした(表1)。 3.多岐に亘る食品成分の分析を行った(表2)。 4.インターネット環境で一般に公開可能なデータベースを構築した。本データベースは品種、栽培地、試験項目、収穫年から絞り込み検索を可能としている。また、検索結果は容易にダウンロードして安全性評価時に利用することが可能である(図1)。 *現在、本データベースに関しては、農林水産省技術会議事務局筑波事務所電子計算課に移管作業中である。
成果の活用面・留意点 組換え体の安全性に対しては消費者の不安もあり、組換え作物の使用拡大に歯止めをかけているという現 状もある。従って、情報を広く公開することにより組換え体の利用に対する透明性を高め、パブリックアク セプタンスを推進することは極めて重要である。本研究において組換え技術を利用した開発が予想されるコ メ、および既に組換え体の存在するダイズについて栄養成分等の分析を行い、データベースを構築したが、 本データベースは広く情報を公開する上でその目的に適うものである。本研究で行った多品種の多岐に亘る 食品成分の分析データは安全性評価の基盤をなすものであり、今後も継続的にデータの蓄積を行い、データ ベースの充実・拡充を図る必要がある。また、本研究においては主要栄養成分を中心に分析を行ったが、有 害成分等の分析手法を確立しデータを得ることも強く望まれる。
カテゴリ 加工 大豆 データベース なす 品種

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