タイトル | 大豆タンパク質ジスルフィド結合の蛍光色素標識による解析と豆腐加工適性評価 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2004~2008 |
研究担当者 |
門間美千子 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 大豆に含まれる各タンパク質のジスルフィド結合を蛍光色素モノブロモバイメイン で標識し定量解析した。グリシニン(11S グロブリン)塩基性サブユニットと豆腐破断応力の相関が示された。 |
キーワード | 大豆タンパク質、ジスルフィド結合、蛍光色素標識、豆腐加工適性 |
背景・ねらい | 大豆食品は従来日本人の食生活において主要な構成要素の一つであり、近年様々な健康機能が明らかに されるにつれその重要性が益々認識されている。抗酸化性の高い黒豆や、風味や色合いに優れた青大豆、 豆臭を抑えた新品種等の多様な大豆の利用が広がる一方で、国産大豆は品質が不安定で利用しにくいとい った実需者からの問題点も指摘されている。本研究では、これらの問題解決に寄与するために、小規模流 通に適した品質評価技術の開発を目的とし、タンパク質ジスルフィド結合に対する特異的蛍光色素モノブ ロモバイメイン(mBBr)を用いて、大豆タンパク質のジスルフィド結合の評価法を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1.大豆 33 品種から抽出したタンパク質をジチオスレイトールで還元処理し、mBBr による蛍光標識後、 SDS 電気泳動で分離し主要バンドの蛍光標識強度を計測した。グリシニン(11S グロブリン)の酸性お よび塩基性サブユニットと Bowman-Birk プロテアーゼインヒビターが主要バンドとして検出された (図1)。各バンドの蛍光強度は、タンパク質に含まれるジスルフィド結合の量と反応性を反映してお り、豆腐のゲル形成と関連する可能性が考えられた。 2.大豆ジスルフィドタンパク質の蛍光標識強度と豆腐の破断応力との関係を検討した。上記大豆から6 倍加水、グルコノデルタラクトン凝固により充填豆腐を調製しでゲル強度を測定した。グリシニン (11S グロブリン)塩基性サブユニットの蛍光強度と豆腐の破断応力に正の相関がみられ、酸性サブユ ニットも正の相関を示した(図2)。よって、これらの蛍光強度により、大豆の豆腐加工適性を推定 することが可能であると考えられた。Bowman-Birk プロテアーゼインヒビターは,多量のジスルフィ ド結合を含有しているが、豆腐ゲルの破断応力との相関がなく、ゲルネットワークの構造にほとんど 寄与していないことが示唆された。 |
成果の活用面・留意点 | 蛍光色素標識法による大豆タンパク質ジスルフィド結合の解析を行い、大豆加工適性との関連を明らか にした。蛍光バンドでは分子量の近いタンパク質の識別が困難なため電気泳動条件の検討や二次元電気泳 動法を活用した、より詳細な解析が期待される。 |
カテゴリ | 加工適性 新品種 大豆 評価法 品種 |