効率的マイクロチャネル乳化のための非対称マイクロデバイスの開発

タイトル 効率的マイクロチャネル乳化のための非対称マイクロデバイスの開発
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者
発行年度 2004
要約 非対称構造のマイクロ貫通孔を効率的に集積したシリコンデバイスを製作し、この デバイスを用いて単分散エマルションの効率的作製技術を開発した。また計算機流 体力学を用いてマイクロ貫通孔からの液滴作製挙動のシミュレーション技術を確立した。
キーワード マイクロチャネル乳化、単分散エマルション、非対称マイクロ貫通孔、シリコン基板、計算機流体力学(CFD)、液滴作製シミュレーション
背景・ねらい 分散液滴径の揃った単分散エマルションは、種々の高機能な液体・固体微粒子、マイクロカプセル などの製造に有用な材料であり、食品や医薬品など各種産業で多様な用途が存在する。本研究では、 単分散エマルションを従来のマイクロチャネル(MC)乳化よりも効率良く安定的に作製できるスリ ットとチャネルの二層構造の非対称マイクロ貫通孔を持つシリコン非対称貫通型 MC を新規に開発し た。またCFD(Computational Fluid Dynamics)を用いてマイクロ貫通孔からの液滴作製プロセスのシ ミュレーションと解析を行なった。
成果の内容・特徴 1.半導体微細加工技術を利用して、スリットとその下部の円形チャネルからなる非対称マイクロ貫 通孔の加工に成功した。均一なサイズの非対称貫通型 MC は、大きさ 24mm、厚さ 500μmシリ コン基板の中央部に約 1 万個形成されている(図 1)。
2.非対称貫通型 MC を用いることで、大豆油に加え低粘度のデカンを分散相とした系(連続相: 1.0wt%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液)でも平均液滴径 35 ~ 40μm で変動係数 2%以下の単分散 水中油滴型(O/W)エマルションを安定的に作製することができる(図 2)。非対称貫通型 MC を 通過した分散相は、連続相中で外力による剪断を必要とせず自発的にマイクロ液滴へと変形する。 現在、非対称貫通型 MC から最大で大豆油系で約 10 個/s、デカン系で約 50 個/s単分散液滴を 高効率かつ安定的に作製することができる。
3.貫通型 MC を用いたマイクロ液滴作製プロセス(大豆油/水系)のシミュレーションを行うための CFD モデルを構築した。このモデルには、円形貫通型 MC(図 3a、直径 10μm)または楕円形貫 通型 MC(図 3b、長軸 40μm、短軸 10μm)が組み込まれている。円形ではなく歪んだ断面を持つ 貫通型 MC を含む CFD モデルを用いて計算した場合に自発的な液滴作製が起こり、直径 40μm マイクロ液滴が安定的に作製された(図 3)。これは実験結果を支持するものであり、CFD は貫通 型 MC 乳化プロセスのシミュレーションと解析に有用である。
成果の活用面・留意点 非対称貫通型 MC は単分散エマルションを効率良く安定的に作製できる優れたデバイスであるが、 普及のためには基板の大型化および操作性に優れた大型モジュールの開発が必要である。実験と CFD シミュレーションを上手く活用することにより、MC 乳化の最適設計が可能になると考えられる。
カテゴリ 加工 大豆

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる