タイトル | 調理加工におけるタマネギ中のフラボノイドの挙動 |
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研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
永谷幸善(井村屋製菓(株)) 五十部誠一郎サンプル調製協力:大貫勇(日本エスコフィエ協会) 竹中真紀子 |
発行年度 | 2004 |
要約 | タマネギ中の主要な抗酸化成分であるケルセチン 3,4'-ジグルコシドおよびケルセチ ン 4'-グルコシドは、「炒める」、「揚げる」等の単一の加熱操作においては比較的安定 であったが、タマネギを用いた実際の調理加工においては他の調理操作の影響で残 存率が低くなるケースがあることを確認した。 |
キーワード | フラボノイド、機能性成分、調理損耗 |
背景・ねらい | 農産物に含まれている機能性成分について多くの研究が行われているが、これらを含んだ素材が食 品として調理加工される場合に、十分にそれらが保持されているか、また機能性がどのように変動し ているかについては不明な点が多い。農産物は収穫後、摂取されるまでにいくつもの過程を経るが、 中でも調理加工における加熱操作は食品の品質を大きく変動させる。本研究では、各種調理加工操作 における機能性成分の挙動を追跡し、栄養性・嗜好性等の食品の本来持つ特性とのバランスを考慮し た適切な加工方法を見出すことを目的とした。 |
成果の内容・特徴 | 1.オニオンスープの製造においては、タマネギを単に炒めたり揚げたりしても、タマネギ中のフラ ボノイドはあまり変化しなかったが、これらをブイヨンと一緒に煮込んでオニオンスープに仕上 げると、特に揚げタマネギを用いたものにおいてフラボノイドの残存率は低くなった(図1)。 2.タマネギの搾汁液を濃縮・加熱して作製するオニオンエキスの製造過程においては、加熱による フラボノイドの損失は少なかった。濃縮段階においてはフラボノイドの濃度は増大し、その損失 は認められなかった(図2)。 3.タマネギ中の主要な抗酸化成分であるケルセチン 3,4'-ジグルコシド(Q3,4'G)およびケルセチン 4'- グルコシド(Q4'G)は、単独で加熱される場合、100 °Cの湿熱および乾熱加熱においては極めて 安定であったが、200 °Cの乾熱加熱においては特に Q3,4'G減少が目立ち、Q4'G およびケルセ チン(Q)が一部検出された(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 農産物素材だけでなく、それらを用いた様々な調理加工品について機能性成分に着目した評価を行 うことで、実際に摂取している食品の品質に関する情報が増え、場合によっては高付加価値化を図る ことができる。食品の調理加工においては通常、成分や特性の多様な変化を伴うので、それらのバラ ンスを考慮して調理加工法を設計する必要がある。 |
カテゴリ | 加工 機能性 機能性成分 高付加価値 たまねぎ |