無機元素組成による黒大豆「丹波黒」の一粒産地判別

タイトル 無機元素組成による黒大豆「丹波黒」の一粒産地判別
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2004~2005
研究担当者 安井明美
小阪英樹
法邑雄司
堀田博
鈴木忠直
発行年度 2006
要約  黒大豆「丹波黒」について、ICP-AES及びICP-MSにより24元素測定し、その中から選択した6元素とKとの濃度比により、日本産と中国産を分類できる線形判別モデルを構築した。一粒判別に適用したところ、約84%が的中した。さらに、ICP-MS測定元素とKとの濃度比のみから選択し構築した線形判別モデルでは、約94%が的中できた。
キーワード 産地判別、無機元素、丹波黒、一粒
背景・ねらい  JAS法において、一般消費者の選択に資するため、生鮮食品の産地表示が義務づけられて5年以上経過するが、輸入品の高価な日本産への偽装表示が後を絶たない。黒大豆の品種の一つである「丹波黒」は、日本から持ち出された種子により栽培された中国産が日本国内へ輸入されている。また、黒大豆は粒のため、中国産を日本産と表示するだけでなく、両産地の黒大豆を混合し、日本産と表示する産地偽装も懸念される。無機元素組成による産地判別技術は、効率的な産地表示調査及び産地偽装表示の抑止効果が期待されているが、本成果では、黒大豆「丹波黒」の一粒を対象として、日本産、中国産を判別し、日本産及び中国産の混合による産地偽装表示を監視する。
成果の内容・特徴
  1. 国産、中国産計66点の丹波黒の約100粒を酸分解し、ppm~pptレベルの元素分析が可能であるICP-AES(誘導結合プラズマ発光分析)及びICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)により24元素を測定した。また、得られたデータ(66点×24元素濃度)について主成分分析した結果、国産、中国産が分離した(図1)。
  2. 後進ステップワイズ法により選択した6元素(Ba,Ca,Mn,Nd,W,Ni)とKの濃度比により、全66点の国産、中国産を正しく分類する線形判別モデル(A)を構築した。さらに、ICP-MSで測定した元素(15元素)は、ICP-AESで測定した元素に比べ、試料内の粒の濃度変動が試料間の変動に対して小さいことから、ICP-MS測定元素(15元素)から選択した3元素(Cd,Cs,V)とKとの濃度比による線形判別モデル(B)も構築した(表1)。
  3. モデル構築に用いた試料65点と新たに収集した試料32点の計97点から一粒ずつ取り出し、各元素とKとの濃度比を測定し、構築した判別モデル(A)により判別したところ、モデル構築に用いた試料では約92%、新たに入手した試料では約66%が的中した。さらに、線形判別モデル(B)では、モデル構築に用いた試料は約95%、新たに入手した試料は約91%が的中し、判別的中率を向上させることができた(表2)。
成果の活用面・留意点  市販の黒大豆「丹波黒」について、黒大豆一粒の無機元素濃度比を測定し、線形判別モデルにより日本産、中国産を判別することで、中国産を日本産と表示する産地偽装のほかに、両産地を混合し、日本産と表示する偽装を監視することができる。
図表1 224639-1.gif
図表2 224639-2.gif
図表3 224639-3.gif
カテゴリ 大豆 品種

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