タイトル |
チモシーの一番草の出穂期予測システム |
担当機関 |
北海道立根釧農業試験場 |
研究期間 |
1992~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
根釧地域をモデル地域とし、約1km四方のメッシュ単位でチモシーにおける1番草の出穂期をノンパラメトリックDVR法によって予測するシステムを作成し1番草の全生育期間における気象データを用いて出穂期予測を行った結果、予測結果が実際の出穂期に適合した草地の割合は誤差±3日以内では50%、±5日以内では70~80%であった。
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背景・ねらい |
牧草の飼料価値は刈取り時の生育ステージに大きく影響される。とりわけ、チモシーでは年間収量の6~7割を占める1番草において良質な粗飼料を確保するために、適切な時期に牧草を刈取る必要がある。合理的な刈取作業計画の立案や生産現場における適期刈取りの啓発に役立てるため、根釧農業試験場内におけるチモシー「センポク」を基幹とする採草地のデータを供試し、ノンパラメトリックDVR法を用いてチモシー1番草の出穂期予測システムを作成した。
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成果の内容・特徴 |
- 気温と可照時間に対応したDVR値を、萌芽期を起算日として、田村ら(1989)の方法を用いて求めた。これによって予測した出穂期と実際の出穂期との差は、根釧農業試験場内で±2日程度であった。
- 出穂期予測をメッシュごとに行うため、清野の方法(1993)によってアメダスデータからメッシュごとの日平均気温を予測した。根釧地域の草地における日平均気温の予測誤差は±0.5~1.0℃であり、これが出穂期の予測結果に及ぼす影響は±3~5日以内であった。
- チモシー1番草の予測された出穂期は年次および地区によって大きく異なった(図1)。この傾向は根釧地域の84草地において出穂期を調査した結果でも同様であり、地区ごとに出穂期を予測することの重要性が確認された。
- 予測された出穂期と実際の出穂期との差の大きさは草地の経過年数や海岸からの距離に影響を受けていたので、これらの要因に対応した補正日数を設定した(表1)。これにより、1番草の全生育期間における気象データを用いて出穂期予測を行った結果、予測結果が実際の出穂期に適合した草地の割合は誤差±3日以内では50%、±5日以内では70~80%であった(図2)。
- 計算日以降の気象データには平均値を用い、随時出穂期予測の行えるシステムのアルゴリズムを作成した(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本システムは根釧地域における早生型チモシーの出穂期予測に有効であり、平成9年度以降、北海道農業試験研究情報システム(HARIS)において利用できる見通しである。
- 本システムのDVR値は早生品種のチモシーを対象に根釧地域で作成された。したがって、予測結果は、当面、根釧地域における早生品種のチモシーを基幹とした採草地に適用する。今後は、現地のデータを蓄積し、適用する地域および品種の拡大と予測精度の向上を図る必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
品種
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