タイトル |
イネDNAマーカーのイネ科牧草育種への利用 |
担当機関 |
山梨県酪農試験場 |
研究期間 |
1995~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
イネゲノム研究で開発されたRFLP及びRAPDマーカーを用いてペレニアルライグラス、メドウフェスク、トールフェスクで多型解析できることを確認した。品種・種内変異の解明とともにFestuca-Lolium属間育種に活用できる可能性が明らかになった。
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背景・ねらい |
近年RFLP(制限酵素切断長多型)やRAPD(任意増幅多型DNA)分析が開発され、検出されるDNAマーカーを染色体連鎖地図に位置づける研究が進められ、イネではすでに約2000のマーカーによる高密度連鎖地図が作成されている。これらのDNAマーカーと有用な形質の連鎖関係が明らかになれば、効率かつ的確な選抜が可能となる。そこで、イネゲノム研究で開発されたDNAマーカーがペレニアルライグラス、メドウフェスク、トールフェスクの3草種について利用できるかを検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 197個のイネRFLPマーカーのうち25個のマーカーについてペレニアルライグラス,メドウフェスク及びトールフェスクの3草種でバンドが検出され,多型解析が可能であった。また,イネランダムプライマーによる3草種におけるRAPD分析では供試プライマーの種類に応じて1~9本のバンド数が検出され、多型解析に使用できることが明らかになった。
- 品種内に変異性がみられたRFLPマーカーを用いて,3草種・6品種の各25個体について分析し,バンド有無のデータから品種内25個体のすべての組み合わせについてロジャーの遺伝的距離を算出してその平均を求めて,品種内の変異性の程度を明らかにした。ペレニアルライグラスの品種がフェスク類の品種より品種内変異が大きい傾向にあった(表1)。
- RAPD分析で検出されたバンド有無を各個体ごとに調査し,品種内24個体のすべての組み合わせについて遺伝的類似度(2×共通バンド/(A個体のバンド数+B個体のバンド数))を算出し,その平均を求めたが,RFLPの結果と同様にペレニアルライグラス品種における品種内変異が大きかった(表2)。
- RFLPマーカーの中には種・属特異的と考えられるものがみられた。また,RAPDプライマーNO.14,16では種特異的なメジャーなバンドがみられた。これらの属・種に特異的なRFLP及びRAPDマーカーはFestuca-Lolium属間育種に活用できると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 属・種に特異的なDNAマーカーについてはFestuca-Lolium属間育種において雑種性の検定等に活用できる。また,解析可能なDNAマーカーに関して,染色体連鎖地図を作製するとともに有用形質との連鎖関係を解明することができる。
- RFLP分析においてDNAハイブリダイゼイションのシグナルが薄いため、イネの場合の2~3倍のプローブ濃度にする必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
DNAマーカー
品種
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