小型ピロプラズマ病発病における牛の品種間差

タイトル 小型ピロプラズマ病発病における牛の品種間差
担当機関 草地試験場
研究期間 1993~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 ホルスタイン種は黒毛和種に比べ,小型ピロプラズマ病に対する感受性が高いことが実験室内感染試験の結果確認された。しかし、両品種の赤血球レベルでは原虫の増殖性に差は認められなかった。
背景・ねらい 牛小型ピロプラズマ病は貧血,発育停滞などを主症状とするわが国の代表的な放牧病である。本病の発病は様々な要因によって修飾されるといわれているが,牛品種間においても感受性に差があることが経験的に知られている。そこで,ホルスタイン種(H種)および黒毛和種(B種)を用いて一定環境条件下で感染実験を行い,本事象を明らかにするとともに,その機序についても生体を用いた赤血球の培養手法としてSCIDマウス(重症複合性免疫不全マウス)モデルを用いて検討した。
成果の内容・特徴
    室温20℃の環境条件下において同一の栄養水準で飼養している小型ピロプラズマ非感染のH種およびB種に小型ピロプラズマ原虫(Theileria sergenti:TS)感染マダニを100個体吸血させることにより人工感染させ,その後の原虫寄生率や血液成分を測定した。また,TS非感染H種赤血球あるいは同B種赤血球を移入したSCIDマウスを作成し,各々にTSを感染させた後それぞれ他品種牛の赤血球を移入し,異品種牛赤血球間のTS感染性の差を調べた。
  1. マダニの吸血開始あるいは飽血落下までの時間および飽血パターンには両品種間で大きな差は見られず,吸血後6日目までに94%以上のダニが飽血落下した。
  2. 両品種ともにマダニ吸血開始後11日目頃に一過性の体温上昇が見られたが,H種ではB種よりも約0.6℃高かった。
  3. 両品種ともにマダニ吸血開始後12日目頃より血液中にTSが確認され,その後寄生率は上昇したが,H種ではB種に比べて寄生率は明らかに高く,その高い寄生率はより長く維持された(図1)。
  4. 両品種ともにTS寄生率の上昇に伴い,赤血球数およびヘマトクリット(Ht)値は減少したが,これらはH種ではB種より低い値を示した(図1)。
  5. SCIDマウスを用いた両品種牛赤血球間のTSピロプラズマ原虫寄生率はほぼ同程度に増加し,両品種の赤血球レベルでの原虫の増殖性に差はなかった(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. H種はB種に比べ、小型ピロプラズマ病に対する感受性が高いことが明らかとなった。本結果は両品種牛における放牧管理および衛生管理条件設定の際に参考となる。
  2. 品種間差の生じる機序については牛体内での原虫の発育・増殖と免疫機能との関連性や原虫寄生赤血球クリアランス機能等の検討が必要である。
図表1 224777-1.jpg
図表2 224777-2.jpg
カテゴリ くり 品種

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