RAPD分析によるペレニアルライグラスエコタイプ集団の遺伝構造解析

タイトル RAPD分析によるペレニアルライグラスエコタイプ集団の遺伝構造解析
担当機関 山梨県酪農試験場
研究期間 1966~1996
研究担当者 岸田諭俊(山梨酪試)
山下雅幸
山田敏彦
澤田均(静岡大農)
発行年度 1996
要約 ヨーロッパ(ドイツ,フランス)及び日本のエコタイプ集団について,RAPD分析を行った。クラスター分析の結果,日本のエコタイプ集団は同一のクラスターを形成した。また,日本の集団はヨーロッパの集団より遺伝的分化の程度が小さいと考えられた。
背景・ねらい 生育地の環境条件に適応して遺伝的に分化したエコタイプ集団は,栽培品種と比較して環境適応性に優れるものが多く,貴重な遺伝資源として位置づけられる。その遺伝構造を解析することは,遺伝資源の効率的利用につながる。最近,RAPD(任意増幅多型DNA)法が開発され,多くの生物の遺伝構造解析に利用されている。そこで,ペレニアルライグラスに適用して,エコタイプ集団の遺伝構造を解析した。
成果の内容・特徴
  1. ドイツ,フランス及び日本で収集されたペレニアルライグラスエコタイプ13集団を供試してRAPD分析を行った。DNAは生葉からアルカリ-SDS法により抽出した。プライマーにはイネランダムプライマーを使用し,PCR反応は94℃1分-35℃2分-72℃3分の45サイクルで行った。(表1)
  2. 各エコタイプ集団より10個体の実生を採取し,集団ごとにひとまとめして,DNAを抽出した。13種類のプライマーに関してそれぞれRAPD分析した。得られた多型的な46本のバンドの有無を数値化(あり=1,なし=0)し,それらのデータを基にピアソン積率相関係数,群平均法によるクラスター分析を行った(図1)。供試集団は5つのクラスターに分けられ,日本のエコタイプ集団はすべて同一のクラスターを形成した。
  3. エコタイプ13集団の各10個体について,8種類のプライマーを用いてRAPD分析した。RAPDバンドの有無を対立遺伝子としてその頻度から遺伝子多様度(Nei,1973)を求めた(表2)。
  4. 集団内の遺伝子多様度(Hs)が全体の遺伝子多様度(Ht)の約80%以上を占め,集団内に豊富な遺伝変異が保有されていることが示された。日本の集団はヨーロッパの集団より全体の遺伝子多様度が低かった。
  5. 日本の集団はドイツやフランスの集団と比較して集団間の遺伝子多様度(Dst),遺伝子分化係数(Gst),絶対的遺伝子分化の程度(Dm)の値がともに低く,遺伝的分化の程度が小さいと考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝資源の特性評価データとともに育種素材の利用に活用する。
  2. 環境適応性等に関連するDNAマーカーの同定が今後必要である。
図表1 224787-1.jpg
図表2 224787-2.jpg
図表3 224787-3.jpg
カテゴリ 育種 遺伝資源 DNAマーカー トマト 品種

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