タイトル |
放牧草地におけるアメリカオニアザミの生態的特性と耕種的防除法 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1993~1996 |
研究担当者 |
加納春平
高橋 俊
三枝俊哉
手島茂樹
小川恭男
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発行年度 |
1996 |
要約 |
アメリカオニアザミの放牧条件下での個体当たりの種子生産数は約3000で、種子は裸地で良く発芽定着するが、植生内では少ない。定着したロゼット個体はサイズによって繁殖齢が変化するが、開花個体は枯死する。防除は、裸地を低減して発芽定着を抑制するとともに、抽苔茎を8月の開花直後に地際刈りまたは低刈りし、種子の生産を抑止すれば良い。
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背景・ねらい |
帰化植物のアメリカオニアザミは北海道内で年々分布を拡大している。本草種は生育環境によって繁殖齢が変化する可変性二年草であり、刈取り利用する採草地では容易に防除できるが、放牧草地では不食草のため強害雑草となっている。そこで、この強害雑草の放牧条件下における種子生産特性、発芽定着特性、ならびに生育特性を調査し、放牧草地における本草種の耕種的防除法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- アメリカオニアザミの開花ピークは8月中旬~下旬であり、開花期間全体の約80%の頭花がこの間に開花した。頭花当たりの平均登熟種子数は227で、開花個体当たりの種子生産数は、これに個体当たりの頭花数(12.8)を乗じて、2908と推定した。
- 異なる地表条件に播種した種子の定着及び幼植物の生育は、裸地や糞塊上で良好であり、植生内では不良であった。また、播種1年後の未発芽生存種子の残留割合は、いずれの播種床でも低く、埋土種子が形成される可能性は小さかった(表1)。
- 生産された種子が翌年にロゼット個体になる確率は1%未満であり、種子の死亡率は99.3%と推定された。また、小ロゼット個体は翌年においても42.4%がロゼット個体としてとどまり、その死亡率は54.5%であった。一方、大ロゼット個体の80.3%は翌年に開花し、開花個体は総て枯死した(表2)。
- 開花初期に抽苔茎を高刈りすると、その後再生し、再生個体は開花・登熟した。これに対して、地際での刈取りあるいは低刈り(地上部残存節数=3)を行うと開花・登熟にいたる個体が激減し、種子の生産を抑制できた(表3)。
- 以上の結果から、草地内に侵入したアメリカオニアザミはロゼットで2~3年生存するものもあるが、開花個体は枯死する。従って、これを防除するには、裸地の低減及び上繁牧草の生育促進を図ってロゼット個体を抑制するとともに、8月の開花直後に抽苔茎を地際刈りまたは低刈りして種子生産を抑制すると良い(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- アメリカオニアザミの耕種的防除法として活用できる。
- 8月に開花した頭花の開花期間は、3~5日、登熟期間は9~20日であるため、抽苔茎の刈取りにあたっては開花後短期間の内に完了する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
播種
繁殖性改善
防除
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