植物体ワックスアルカンをマーカーとした放牧家畜の採食量の推定

タイトル 植物体ワックスアルカンをマーカーとした放牧家畜の採食量の推定
担当機関 草地試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者 塩谷繁(九州農試)
秋山典昭
大槻和夫
栂村恭子
発行年度 1996
要約 炭素数が32のアルカンを牛に投与し、植物体中の炭素数31または33のアルカンと組み合わせて推定した採食量は実測値とよく一致した。植物体ワックスアルカンをマーカーとする採食量の推定法は、放牧家畜に適用できる有望な方法である。
背景・ねらい  現在広く用いられている放牧家畜の採食量を推定する方法は、排糞量の推定に酸化クロムを投与するため、環境への影響が憂慮される。また、個々の家畜の消化率を正確に測定することが難しく、消化率の推定誤差がより大きく採食量の精度に影響するなど精度に問題がある。そこで、植物体のワックスに含まれるアルカン(CnH2n+2)を利用して採食量を推定する方法について、その精度および推定精度に及ぼす要因について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 舎飼いの去勢牛6頭に草地から採草した生草と炭素数(C)が28と32の合成アルカンを1日2回与え、草中のアルカンと糞中のアルカンの濃度を測定し、以下の式から推定した採食量を実測値と比較した。
    採食量(kg DM/日)=(Fi×Dj/Fj)/(Hi-Fi×Hj/Fj)
     CiとCjは炭素数が直近のアルカン(i=j±1)、Dj:合成アルカン(Cj)の日投与量(約0.5g)、Fj:Cjの糞中濃度、Fi:Ciの糞中濃度、Hj:Cjの草中濃度、Hi:Ciの  草中濃度、C32とC31またはC33の組み合わせで求めた推定値はよく実測値と一致し、C28 とC29の組み合わせではやや誤差が大きくなった(表1)。
  2. 3時間おきに採取した糞では、アルカン濃度比に日内変動が見られた(図1)。濃度比の変動係数はいずれの組み合わせでも約10%であった。
  3. 草種や部位によってアルカンの濃度は異なった(図2)、(図3)。推定値に最も大きな誤差を与える要因としては、飼草のサンプリング誤差が考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. 従来の方法に比べて簡便に、また、個々の放牧家畜の状態を反映した採食量を正確に推定できる。放牧家畜の栄養収支などの試験に適用できる。
  2. 草種や部位によってアルカンの濃度が異なることから、正確な推定には放牧家畜が実際に採食しているのと同様な飼草の採取が必要である。多くの草種が混在する草地では食道フィステルを装着した家畜からのサンプリングが望ましい。
図表1 224818-1.jpg
図表2 224818-2.jpg
図表3 224818-3.jpg
図表4 224818-4.jpg
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