タイトル |
スラリーの簡易高速発酵調製技術の開発 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1993~1999 |
研究担当者 |
伊吹俊彦
斉藤雅典
田中孝一
梅田直円
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発行年度 |
1996 |
要約 |
酪農ふん尿原液を短期間に好気発酵処理する実用規模の回転翼・ブロア方式の曝気装置を開発した。これにより1~2日の処理で悪臭を低減できる。
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背景・ねらい |
近年、嫌気発酵処理されたスラリ-を圃場へ散布するときの悪臭の拡散が問題となっている。このため、各種のスラリ-を対象とした悪臭の低減が期待できる好気発酵処理装置を開発し、その機械的特性とスラリ-の性状の変化を明らかにした。
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成果の内容・特徴 |
- 中規模酪農家(20~30頭規模)で産出されるふん尿を一次処理するために、簡易でしかも短期間に悪臭を低減できる回転翼・ブロア方式の曝気装置を開発した。装置は、実用規模の1.5m3の実容量をもつ箱型発酵槽で、5.5kWの2台のモ-タ-による二軸回転翼攪拌機構と0.4kWのブロアによる送気機構より成る(図1)。
- 効果:
①この曝気装置は、ふん尿原液(含水比約1,000% )を強力な攪拌と曝気により約1~2日でふん尿の性状を変え、臭気を低減することが可能である。 ②発酵処理の開始とともに液温は上昇し、約1日で最高に近い値を示し、以後は平衡状態で推移する(図2)。 ③pHは9前後まで上昇し、粘度は、早い時期に著しく低下する。また、色調は、灰オリ-ブ色から黒褐色に変化する(表1)。 ④発酵により臭気は急激に変化する。特に硫化水素系ガス濃度は急低下し(図3)、官能による悪臭は著しく減少する。 ⑤撹拌曝気処理により比較的速く悪臭を低減することができ、温度、pH、色調等をその判定指標にできる。
- 処理後の液の変化をみると、pHは1ケ月で原液と同程度に戻るが硫化水素系ガス濃度と臭気は60日後でも低い値にとどまることから(図4)、処理液を長期貯留するふん尿利用体系に有効と考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 外気温の低下する冬期に利用する場合は、発酵槽の放熱を抑制するために断熱構造とすることが望ましい。
- 畜舎で生産されるふん尿を毎日処理することが環境保全上好ましいことではあるが、モ-タ-駆動によるランニングコストを充分検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
コスト
乳牛
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