タイトル |
汁液分析を用いた飼料用トウモロコシの硝酸態窒素濃度推定法 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
原田久富美
須永義人
畠中哲哉
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発行年度 |
1997 |
要約 |
黄熟期以降におけるトウモロコシ(刈り高10cm)全体の硝酸態窒素濃度は茎の地際から高さ50cm部位(1cm切片)の硝酸態窒素濃度の汁液分析と子実のミルクライン降下度から推定できる。
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背景・ねらい |
家畜ふん尿の圃場への多量投入によって窒素供給力の高まった飼料畑において、飼料作物中の硝酸態窒素濃度を現場で知る方法が求められている。そこで、黄熟期以降のトウモロコシについて現場で硝酸態窒素濃度を簡易に推定する方法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 以下の近似式に示された2因子を推定することにより、全体の硝酸態窒素濃度を求める。
【乾物重当たりの硝酸態窒素濃度(%)】 ≒【茎の新鮮重当たりの硝酸態窒素濃度(%)】×【全乾物重に占める茎の割合】÷【茎の乾物率】 (濃度因子) (希釈因子)
- 濃度因子の推定法:高さ別に1cm幅で切り取った茎部切片(5個体分)の汁液中の硝酸態窒素濃度は地際から高くなるにつれ直線的に減少した。高さ50cm(49~50cm)部位の濃度は 濃度因子の値と最も相関が高く(r=0.87)、両者の関係から以下の式を作成した(図1)。
(濃度因子)= 0.45 ×(地際から高さ50cmの汁液中の硝酸態窒素濃度)+ 0.008…①
- 希釈因子の推定法:子実のミルクライン降下度から希釈因子の推定値を決定する表を作成した(表1)。
- 硝酸態窒素濃度の算出:生育時期・品種別58点、農家6点、計64試料を用いて、①式と表1より推定した濃度因子と希釈因子から硝酸態窒素濃度推定値を算出し、実測値と比較した。両者はよく一致しており、相関係数も高かった(r=0.88,p<0.001で有意)。また、ミルクライン降下度を利用できない開花期においても希釈因子を5.0に設定することで満足できる結果が得られた(図2)、(表2)。
- 簡易な汁液分析法:汁液中の硝酸態窒素濃度の簡易測定法として、簡易型反射式光度計による測定を検討した。茎の1cm切片をニンニク搾り器等でしぼり、50倍程度希釈した液を分析した結果、測定値はイオンクロマトグラフィーによる分析結果と一致しており(Y=0.96X,r=0.98,n =184)、この分析法は十分利用可能であった。
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成果の活用面・留意点 |
- トウモロコシ栽培現場での診断・対策や育種分野での選抜に利用できる。
- ナスホマレやP3358と同じ熟期の早生から中生品種が対象である。
気象不順などによって生育に著しい影響を受けた場合は適用できない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
育種
簡易測定
飼料作物
飼料用作物
とうもろこし
なす
にんにく
品種
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