タイトル |
牧草ミネラル組成改善のためのカリ低減型施肥法 |
担当機関 |
北海道立根釧農業試験場 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
甲田裕幸
三枝俊哉
宝示戸雅之
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発行年度 |
1997 |
要約 |
牧草のミネラル組成を乳牛飼養上望ましい方向に改善するために、チモシー・シロクローバ混播草地において1番草のマメ科率を維持できるカリの必要最小量を策定し、土壌診断に基づく施肥量算出式を提案する。
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背景・ねらい |
チモシー・シロクローバ混播草地の牧草体カリ含有率(作物栄養診断基準値で1.7~3.5%、「土壌および作物栄養診断基準(北海道農業試験会議「普及奨励並びに指導参考事項」)-改訂版-」、平成元年5月)は、乳牛の求めるカリ水準(0.65~0.8%、「日本飼養標準 乳牛」、1994年版)に比べ明らかに高い。この状況を改善するために、カリ供給量(カリ施肥量と早春の土壌表層0~5cm中交換性カリ量との合計)を現行の30kg/10aからどこまで低減できるかについて検討し、施肥量の決定方法を提案する。
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成果の内容・特徴 |
- 牧草の年間乾物収量はカリ供給量の増加に伴い高まり、平均的にはカリ施肥量14~18kg区(カリ供給量18~22kg/10a)で22kg区とほぼ同等の収量水準に達する(表1)。しかしながら、この施肥量レベルにおいても年次変動が大きいので、現行のカリ施肥量(供給量で30kg/10a)に比べると収量が低下する可能性があるといえる。
- 根釧地方の火山性土地帯のチモシー・シロクローバ混播採草地においてマメ科率を15~20%程度に維持し得るカリ供給量の下限値は20~25kg/10aである(図1)。また、カリ施肥量18kg区の1番草マメ科率は22kg区と同等であることと、18kg区における土壌表層(0~5cm)中の交換性カリ量は3~4kg/10aであることから、マメ科率の低下をもたらさないカリ供給量の下限を22kg/10aと設定する。
- 牧草のミネラル組成は、カリ供給量の低減により乳牛飼養上望ましい方向に改善される。すなわち、牧草のミネラル含有率は過剰傾向にあるカリで低下し、逆に不足がちなマグネシウムおよびカルシウムでは高まる(図2)。
- マメ科率維持のためのカリ供給量の下限値を22kg/10aと策定し、このカリ供給量を満たす牧草ミネラル組成重視型のカリ低減型施肥量決定法として
カリ施肥量(kgK2O/10a) =22-1/2×仮比重×早春の土壌(0~5cm)中の交換性カリ含量(mgK2O/100g乾土) を提案する。これによる試算例を表2に示す。
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成果の活用面・留意点 |
- 本施肥法は北海道東部の火山性土地帯で検討された成果であり、他地域への適用にあたっては、地域の特徴を加味した検討が必要である。
- この施肥法による収量は、現行のカリ施肥法に比べやや低下する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
栄養診断
施肥
土壌診断
乳牛
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