タイトル |
搾乳牛の集約的放牧草地における年間の窒素動態 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
高橋繁男
大槻和夫
栂村恭子
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発行年度 |
1997 |
要約 |
摂取した可消化養分総量(TDN)のうち、草由来の割合を約80%と約50%とする2種類の搾乳牛集約放牧草地での年間の窒素動態が明らかとなり、施肥と系外飼料による窒素投入量は224と344kg/ha/年、乳中窒素生産量は62と112kg/ha/年、草地での窒素蓄積量と環境負荷量の合計は95と173kg/ha/年と算定される。
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背景・ねらい |
草地の集約的利用により、搾乳牛の放牧で土地面積当たり高い乳生産を達成する技術開発が行われている(草地試・放牧飼養研)。この草地には、施肥に加えて系外からの濃厚飼料由来による窒素が投入されるので、草地での窒素蓄積と環境負荷が懸念される。そこで、搾乳牛の集約放牧での窒素の動態を解明し、家畜における窒素利用効率と草地における年間の窒素収支を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
搾乳牛を、放牧主体区(2.5頭/ha、草由来の可消化養分総量(TDN)80%)および濃厚飼料増給区(4.6頭/ha、草由来TDN50%)で、放牧するとともに各区から収穫した草の給与で、草由来の乳生産が約10,000kg/haであるペレニアルライグラス主体草地で(表1、図1)、窒素の流路に沿ってその動態を明らかにした(1995-96年の平均、図2)。放牧は約6か月であるが、草地の窒素収支は1年間の値である。
- 施肥窒素量は両区で約150kg/ha/年としたが、系外飼料由来窒素を加えると、草地への用乳窒素量は、放牧主体区および濃厚飼料増給区で、224と344 kg/ha/年である。
- 乳中窒素生産量は放牧主体区と濃厚飼料主体区で、62と112kg/ha/年であり、施肥および系外飼料由来の窒素が乳に回収される割合は、放牧主体区と濃厚飼料増給区で、28と33%であった。
- 窒素投入量から支出量を差し引いた、草地での蓄積と環境負荷量の合計は、放牧主体区と濃厚飼料増給区で95と173kg/ha/年である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 搾乳牛の集約放牧で、窒素動態を考慮した技術開発の参考となる。ただし、草地の環境負荷要因である揮散、脱窒、流亡および表面流去等は定量していない。
- 乳量、牧草生産量については、草地飼料作研究成果最新情報第11号「搾乳牛の集約放牧における単位面積当たりの産乳量」を参照されたい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
施肥
乳牛
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