画像解析によるイネ科牧草生葉片のin vitro消化性の定量化

タイトル 画像解析によるイネ科牧草生葉片のin vitro消化性の定量化
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 近藤恒夫
松村哲夫
神田英司
樋口誠一郎
米丸淳一
発行年度 1998
要約 イネ科牧草の生葉身片を対象に、ルーメン液を用いたin vitro培養で消化された割合を画像解析により定量化する手法を開発した。この手法により、消化後の葉身片の画像データから消化前および消化後の葉面積を計測して、消化葉面積率を算出することができる。
背景・ねらい イネ科牧草の品質育種を効果的に進めるには、多面的な品質評価法の確立が不可欠である。従来、植物の組織構造と消化性との対応関係に着目した植物組織片を対象とする評価法が検討されてきたが、定性的な観察にとどまり定量的な評価法はほとんど見られない。また、定量的な評価も重量法による評価であるため、得られる情報が少なく消化性についての情報は限定されている。そこで、植物組織片を用いた消化性の多面的な評価法を開発するため、イネ科牧草生葉身片のin vitro消化性について、画像解析による定量化法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. イネ科牧草の上位展開葉2枚目の中央部分を3cm片に切断し、所定時間ルーメン緩衝液(ルーメン液:McDougallの緩衝液;1:4)で消化し、消化後の試料片をCCDカメラより透過光で撮影・デジタル画像化し、光磁気ディスクに保存する。その後、画像データを前処理し画像解析用の元画像を作成した上で一連のプログラムを実行し、in vitro消化葉面積率を計算する(図1)。
  2. 具体的には、2種のしきい値を利用し消化前葉面積と消化後葉面積を求め、in vitro消化葉面積率(%:(1-消化後葉面積/消化前葉面積)×100)を算出する。消化前葉面積の算出方法は、背景雑音の画素値の最大値をしきい値とし、それ以上の値をすべて消化前葉面積とする。また、消化後葉面積は画素値から算出される濃度ヒストグラムの一次微分の傾きが最大となる点を計算する微分法を用いてしきい値を算出し、それ以上の値を示す画素をすべて消化後葉面積として計算する(図2)。
  3. 4種の牧草(OG:オーチャードグラス、TY:チモシー、TF:トールフェスクおよびRG:リードカナリーグラス)のin vitro消化葉面積率は、培養32時間以降から2つのグループに分かれ、48時間後でグループ差が最大となる(5%レベルで有意、図3)。また、24時間後のin vitro消化葉面積率では差が認められなかったOGとTYにおいても、画像中でTYはOGと比較して微細な孔が多く認められ(図4)、定量化により草種による消化性の違いについても多面的に検討できる。
成果の活用面・留意点
  1. 生葉身の消化性に関する多面的な情報が得られるため、消化性評価のほか品質育種のための消化過程の解析に利用できる。
  2. 長時間消化した場合は葉身片が崩壊し、葉身画像の取得が不正確になるため、消化時間は葉身片の様子を観察しながら決定する必要がある。
図表1 224897-1.JPG
図表2 224897-2.JPG
図表3 224897-3.JPG
図表4 224897-4.JPG
カテゴリ 育種 評価法

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