タイトル |
ソルガム類における硝酸態窒素濃度低減化のための品種群選択 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
吉村義則
原田久富美
須永義人
畠中哲哉
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ソルガム類において、茎が乾性の遺伝形質を持つ子実型及び兼用型の品種群は硝酸態窒素濃度が低くなる特性を備えている。これら品種群の窒素多施用条件下における出穂後35日目の硝酸態窒素濃度は平均で0.2%程度である。
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背景・ねらい |
一般に、窒素の多量施用条件ではソルガム類の硝酸態窒素濃度は高くなりやすく、反芻家畜の急性中毒基準とされる0.2%を超えることが指摘されている。そこで、子実型、兼用型、ソルゴー型、スーダン型、スーダングラスに分類されるソルガム類について、品種群における硝酸態窒素の蓄積に関する特性を把握し、硝酸態窒素濃度が高くなりにくい品種群の利用により硝酸態窒素濃度の低減を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 下記の近似式によりソルガム類の硝酸態窒素濃度に関係する要因を解析した。トウモロコシの場合と同様に、生育ステージの進行と共に乾物率の増加と茎割合の減少による希釈因子の低下が認められ、硝酸態窒素濃度が減少する。(発表論文参考)
[乾物中の硝酸態窒素濃度] ≒ [濃度因子)] ×[希釈因子] [濃度因子] = [茎の新鮮物中の硝酸態窒素濃度] [希釈因子] = [全乾物重に占める茎の割合] ÷ [茎の乾物率]
- 子実型及び兼用型品種群の濃度因子及び希釈因子は、いずれも他の品種群より低い傾向にあり、その結果、硝酸態窒素濃度は最も低くなる(図1)。また、子実型・兼用型以外の品種群の平均値は0.3%を超えていた。
- 茎の乾汁性は、子実型及び兼用型品種群の茎乾物率に明確な影響を与え、乾性の品種は汁性の品種よりも希釈因子が低くなることで、硝酸態窒素濃度が低くなる(表1)。
- 窒素の多量施用条件(元肥2kg/a+追肥3kg/a)において、出穂後35日目の茎が乾性の子実型と兼用型ソルガム品種の濃度因子及び希釈因子の平均値は、それぞれ0.1%、2.2であり、硝酸態窒素濃度は反すう家畜の急性硝酸中毒基準(乾物あたり0.2%)に近いレベルとなる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- ソルガム類栽培において品種群選定の参考となる。
- ソルガム類の生育は温度反応が大きいので地域間差等について留意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
ソルガム
とうもろこし
品種
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