野草地の「牧養力指数」の推定

タイトル 野草地の「牧養力指数」の推定
担当機関 草地試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 坂上清一
齋藤吉満
発行年度 1998
要約 放牧草地における家畜生産能力を表現するための新たな指標を提案し、「牧養力指数」と名付けた。ミヤコザサおよびシバが優占する野草地の放牧試験からこの指数を推定し、それぞれ0.138、0.676という値を得た。
背景・ねらい 放牧草地の家畜生産能力についての表現法には、「カウデー」、「草地生産単位」等の指標が存在し、使用されてきている。しかし、それら指標は放牧の結果を表現しているものの、家畜生産能力を表現しているとは一概には言えない。そこで、放牧草地の家畜生産能力に関する概念の一般化を図るため家畜収容力(carrying capacity)についてのモデルを作成し、モデル中のパラメータのひとつを放牧草地の家畜生産能力の指標とする。
成果の内容・特徴
    放牧草地の家畜収容力について以下のようにモデル化する。
    ①放牧草地を家畜と草地潜在力(植物体および土壌中の有機、無機物等の総和からなる。)とに分ける(図1上)。
    ②家畜収容力は草地潜在力に依存し変化する。一方で、退牧時における収穫率は一定と仮定する(図1下)。この収穫率は、家畜も含めた全潜在力うち家畜部分の最大割合を表現するので「牧養力指数」と名付けた。
  1. 実際の放牧草地における牧養力指数を推定するため、以下の処理をおこなった。
    ①牧養力についてのモデルを年次推移に関して拡張する(式1)。
    ②ミヤコザサおよびシバが優占する草地にそれぞれ黒毛和種子付き繁殖牛および育成牛を複数年にわたり放牧する。なお、放牧牛以外の人為的投入および収穫はない。
    ③退牧時の家畜体重の実測値にモデルからの推定値を最小二乗法によって当てはめることにより、それぞれの草地における牧養力指数を推定する。
  2. 退牧時における放牧牛体重の推定値は実測値とほぼ一致した(図2)。このことから家畜収容力に関するモデルの有効性を認めた。推定した牧養力指数はミヤコザサ草地で
     0.138、シバ草地で0.676であった(表1)。これは、放牧地全体を家畜に換算した場合、ミヤコザサ草地で最大約14%、シバ草地で約68%まで家畜を収容できることを意味する。
  3. 家畜生産能力はミヤコザサ草地より、シバ草地の方が高いといえる。施肥などにより草地潜在力を高めることができれば、シバ草地はかなりの家畜生産をあげることが可能であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 牧養力指数と草地潜在力を指標としてみた各種草地の特質を表現できる。また、放牧牛の放牧中の成長に関してのモデルのパラメータとして使用できる。施肥等の投入がある場合へのモデルの改良も容易である。
  2. 体重の伸びが頭打ちになるような放牧圧で試験を行なわなければならない。随時体側を行い、この状態を確認する必要がある。草地潜在力に関しての測定、特に土壌中の潜在力の測定は現時点では困難である。
図表1 224936-1.JPG
図表2 224936-2.JPG
図表3 224936-3.JPG
図表4 224936-4.JPG
カテゴリ 施肥 繁殖性改善

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる