におい物質添加とルーメン内へのVFA注入によって条件づけられる嗜好性の変化

タイトル におい物質添加とルーメン内へのVFA注入によって条件づけられる嗜好性の変化
担当機関 草地試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 井村 毅
山田明央
須藤まどか
発行年度 1998
要約 においを添加した飼料の給与と同時にプロピオン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムをルーメン内に注入する処理を反復することにより、嗜好性の条件づけが可能となる。
背景・ねらい 草地における家畜の採食行動には選択性が認められ、その誘因の一つは「におい」であると考えられている。一方、選択行動の動因である嗜好性は、少なくとも部分的には、飼料から得られる感覚刺激(味・におい・色等)と、摂取後に起きる生理的変化の組み合わせによる「条件づけ」によって形成されるものと考えられている。反芻家畜の場合、穀実などの濃厚飼料に対して強い嗜好性を示すことから、摂取時にルーメン内VFA産生が急激に増加することが、飼料の嗜好性を高める要因の一つとなっている可能性がある。そこで、飼料へのにおい物質の添加とルーメン内へのVFA注入を組み合わせた処理によって、飼料に対する嗜好性の向上が図れるかどうかを検討した。
成果の内容・特徴
  1. ヒツジ4頭を用い、牧草に含まれるにおい物質であるバニリンまたはアオバアルコールを添加した細断乾草を、交互に1日1回2時間給与し、同時に、バニリン添加乾草給与時にはプロピオン酸溶液を、また、アオバアルコール添加乾草給与時には水をルーメン内に注入した。この処理を8日間反復し(表1)、処理前・後にバニリン添加乾草とアオバアルコール添加乾草の嗜好性を比較した。
  2. プロピオン酸ナトリウム注入量を3.5mM/BW0.75(DEとして1日当りの飼料摂取量の約1%相当量)とした実験(図1-a)では、処理前にはアオバアルコール添加乾草の採食量がバニリン添加乾草よりも多い傾向にあり、処理後にも同様であったが、注入量を7.0mM/BW0.75とした実験(図1-a)では、処理後にはバニリン添加乾草の採食量がアオバアルコール添加乾草よりも明らかに多くなった。プロピオン酸ナトリウムに代えて酢酸ナトリウムを用いた実験でも、類似の結果が得られた。
  3. 以上の結果から、飼料へのにおい物質添加とルーメン内へのVFA注入を組み合わせることにより、飼料に対する嗜好性を変化させることが可能と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 飼料に対する嗜好性の制御技術開発のための基礎的知見である。
  2. ここで対象とした「嗜好性」は、採食開始時にどちらをより多く選択するか(いわゆる「食いつきの良さ」)であり、自由採食量の増加を意味するものではない。
図表1 224942-1.JPG
図表2 224942-2.JPG
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